『天使の翼』第12章(15)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
実際にでこぼこの岩地を這いずり回ってみると、この中で何かを探すという事が想像以上に難しいと分かった。少し高い所から見えていたものも、いったん視界から外れてしまうと、なかなかその場に辿り着けない。わたしは、いつの間にかこの作業に没頭していた。
最初の一つを見付けたのは、ほとんど当てずっぽうだった。
――SSIPの外套。……気障なデザインだけど……あったかそう……
わたしは、少しためらったものの、えいとばかりに羽織った。……予想通り暖かく、湿気を低減する効果もあるようだ。
サイズは、丈の方は背の高いわたしにぴったりだが、肩幅の方は男性用とあっていかんともしがたい……よくもまあ舞い落ちてくれていた……この格好で、シャルルをおどかしてやろう……
その時になってようやく、わたしは、元の持ち主のことに頭が行った――血でも付いてやしないかしら……大丈夫そう……少しくらい構うものか……
(この肩章からして、下士官クラスかな……)
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