成長のエンジン~経営統合よりデジタルトランスフォーメーションか~
日経電子版の記事【スシロー、進化形回転ずしで挑む一人勝ち】は、経営統合の交渉中止が株価下落に繋がった件を考察したリポートですが、具体的な事例はさておき、『経営統合』=正論とは限らない事だけは明白です。
ここで、改めて『経営統合』のメリット・デメリットを考えてみると――
▶『経営統合』のメリット・デメリットの例
(1)メリット
①『調達力強化(スケールメリット)』・・・大量仕入れによる原価
低減。
②『海外共同展開(スケールメリット)』・・・海外展開加速による
マネタイズ。
③『買収防衛(スケールメリット)』・・・ステークホルダー全般に
とってメリットのない買収を回避。
④『イノベーション(シナジー効果)』・・・互いの技術リソース・
人的リソース・インフラ等を結び付けて、新たな競争力の源泉
となるイノベーションを起こす。
⑤『サービス強化(シナジー効果)』・・・互いのソリューションを
連携させることで、顧客に提供できるサービスを強化する。
など
(2)デメリット
①『ビジネスモデルの独自性の喪失』・・・もともと親和性のない
ビジネスモデルを統合することで、それぞれの持ち味、顧客にとって
の魅力が薄れてしまい、競争力が低下する。
②『施策の自由度の喪失』・・・所帯が大きくなる事で、事業全般に
わたって施策の自由度が損なわれ、新規事業などのスピード感、
革新性が低減する。
③『大企業病』・・・統合と同時に派閥化が起こり、大企業病のあらゆる
症状が噴出するようになってしまう。
など
こうしてみると、あくまで一般論ですが、デジタル化によってコト消費へのアジャイルな対応が求められる今の時代に、敢えて『経営統合』という選択をせずとも、むしろ、緩やかなアライアンス、オープンイノベーションによってスピード感と革新性を担保した方が、様々なデメリットを回避できるようにも思えます。
また、『DX(デジタルトランスフォーメーション)』による自動化・省力化などの効率化は、人件費上昇への抵抗力・ユーザーのニーズに刺さるプロダクトを生み出すイノベーションのエコシステムなどをもたらし、『経営統合』に勝る選択肢としてのポテンシャルを秘めているようにも考えられます。
そもそも異文化を培ってきた企業同士を合体させる困難を内包した『経営統合』は、必ずしも最良の選択肢とは言えなくなってきているのではないでしょうか。
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