Amazon Go、データドリブンな経営とは
日経電子版の記事【進化したAmazon Go データを棚と品ぞろえに生かす】は、ともすればレジ無し、省人化という側面にスポットが当たりがちなAmazon Goの真の目的が、データに基づいた業務の追求、『データドリブンな経営』にあることを改めて教えてくれる好リポートだと思います。
そもそも、リテールにおけるデータとは何なのか?――従来のようなPOSデータだけでは、顧客行動に関わる全てのデータのうち、ほんの一部分しか取り込めていない事は明らかです。顧客行動データのうち、誰が買ったか分からない、売れたモノに関するデータだけでは、到底正しい分析は出来ません。
一歩進んでID‐POSデータであれば、買った人の属性と売れたモノが紐付けられるようになりますが、それでも顧客行動データの全てとは言えません。
リテールにおけるデータ、顧客行動に関わる詳細なデータとは、記事の表現を借りるなら「どんな消費者がいつ、何を手にし、どんなふうに店の中を動いて、何を購入したか」の情報なのです。
つまり、Amazon Goにおいては、テクノロジーの力で、可能な限り詳細な顧客行動データを収集し、(一部分だけを切り取った不正確な分析ではない)総合的なデータ分析に基づいて、全ての業務を進化させる『データドリブンな経営』が追求されているのです。『レジ無し』が可能となったのは、この総合的なデータ分析の一つの成果に過ぎないのです。
さらに、Amazon Goにおける『データドリブンな経営』の徹底ぶりは、次のような点からもうかがえます――
▶データドリブンな経営
(1)『省人化が目的ではない』・・・『レジ無し』によって浮いた人的
リソースは、接客など、さらなる顧客サービスの向上に振り向ける。
(2)『データサイエンティストは各部署に配置する』・・・データを各部署
の業務において密接に活用するには、データサイエンティストが各部署
のチームの一員でなくてはならない。
(3)『品揃えの徹底した絞り込み』・・・広範なデータの分析により、自信
を持って絞り込みが出来る。ユーザーの必要頻度が高いものしか置か
ない。
(4)『欠品を防ぐデリ商品の仕込み』・・・データから売れ行きを予測。
(5)『来店時間帯別の棚構成』・・・詳細なデータの分析によって、朝食用
昼食用、夕食用といった、スムーズにまとめて買い物の出来る棚割も
可能となる。