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『天使の翼』第11章(63)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
シャルルは――
「うまくできている」
と、一人頷いて――明らかに原理が分かった顔で――、手近の4人用個室を選んだ。
わたしとローラは、先を争うようにして窓側の席に突進し、ドスンとお尻を下ろした。何故と言って、このハイテク車両が、車体をくねらせ、超高速で山肌を這い登っていく様を想像すれば、誰だって車窓の風景に興味津々なはずだ。
アナウンスが、わずか2標準時間弱で、600キロメートル離れた、標高2000メートル超えのハイ・アンコーナに着く、と謳っている。――わたしは、ほとんど鉄道交通というものを使わないのだが、この数字、山岳鉄道にしては驚異的なのではなかろうか。
わくわくするような瞬間がついにやってきて、マウンテン・スネーク号が滑るように走り出し時、わたし達は、三人とも、窓の外を流れる光景に釘付けだった。