『天使の翼』第11章(77)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「そして――」
シャルルが言った。
「――フランク長官の件は、ばれてしまっても良い」
わたしは、ローラと顔を見合わせた。確かに他の件と比べれば、危険度は低いのかも知れないが……
「より大きな嘘を隠すためだよ」
……一理あるが、にわかには同意しかねる……。もちろん、シャルルは、そうなったらそうなったで状況を逆手に取り、何か有利な点を引き出そうとするのだろうが。
「ダムに開いた最初の小さな穴にならなければいいけど……」
ローラが、わたしと全く同じ懸念を、古いことわざに託して表現した――もちろん、現役の『ダム』などない。時代の古い植民惑星に産業遺跡として残されたものがいくつかあるらしいが――。いずれにしても、普通は、捕まったら最後、芋づる式にすべて吐かされる、と考えるものだ――――
わたし達の思案は、突然の悲鳴で遮られた。