『天使の翼』第11章(92)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「兵達の接し方を見たかい」
シャルルが言った。
「――余程大切な証人と見えて、必要以上に手荒な扱いは控えていた。彼らから聞き出さなくてはならない事がたくさんあるようだ――」
その後、わたし達は事態の進展を追うことができず、いたずらに時が流れていった。にわかに今後のことが気になりだした。
「いつまで足止めを食うのかしら――それより、ケインがいないんでは、山岳地帯に行く意味があるかしら?」
本質的には、大公国支配層への足掛かりとなるコネクションを探す旅だ……何らかのメリットがなければ、行く意味がない。肩透かしを食らってしまった……
シャルルは、ローラを顧みて――
「山岳地帯のことをもう少し詳しくは・な――」
車内アナウンスが、シャルルの言葉を遮った。
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