『天使の翼』第12章(58)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
『私の若かりし日の舞いを見せてあげたかったわ』
(彼女一体いくつなのかしら?)
『私は、もうおばあちゃん』
わたしは、ぎくりとした。
『ごめんなさい。別にあなたの心を読むつもりなんてないのよ……』
わたしは、肩をすくめた。ふと気になって聞いてみる――
「あなたの名前を聞いてなかった。何て呼べば……」
彼女は、ゴロゴロと唸って見せた。
「今のが?」
『無理ね、適当に名前を付けて』
「適当と言っても……うーん……グランマ?」
『いやだ、それ、おばあちゃんって意味じゃ?』
「ふふ、嫌よね……うーん、適当!エリザ!」
わたしは、頭の中に浮かびあがった最初の名前を叫んだ。――『エリザ』、『エリザ』。何だかぴったしの名前に思えてくる。