『天使の翼』第12章(67)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
いかに多くのデビルが舞っているとはいえ、広大な空間だ、他のデビルとの無用な衝突を避けるという意味もあるだろう、至近距離でほかのデビルとすれ違うような場面はほとんどない。
しばらくして、エリザが、広く開脚した足を少しすぼめた。途端に、空間の一点を目指して滑空のスピードが上がった――
(どうしたの!)
『ちょっとお腹がすいてるの!』
空間の遙か先に、何か黒い染みのような粒粒がもやもやしている。
……粒粒はどんどん大きくなって丸くなり、鮮やかなエメラルドグリーンの飛行生物の群れとなった……大きさは、ハトほどにも、翼長1標準メートルにも見える……
エリザは、巧みに飛行高度を上げ、放物線を描いて下降しながら群れに突っ込んでいった。
群れが、蜘蛛の子を散らすようにばらける。でも、遅かった――
思わず目を瞑ったわたしが次に目を開いた時には、エリザの口から、だらりとその生き物の首と尾が垂れていた。エリザは、ゆっくりと滑空しながら、満足気に首を振り動かして、頭から飲み込んでしまった。
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