『天使の翼』第12章(77)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
最初、それは、遠い山並みの鞍部に巨人が置いていったゴミのような、色彩の染みとなって視界に飛び込んできた。……赤・黄・青……光の点が一か所にばら撒かれて、ちらちらと陽の光を反射している。わたし達は、アンコーナの太陽を背にしていた。
すぐには、鉱山街だとは分からなかったのだが、煙突のようなもの、そして巨大な櫓が見分けられてきた……あまり近代的ではないけど……
『あなたお望みの、小さな鉱山。家族経営に毛が生えたようなもの』
そう言って(?)、エリザは、被膜を傾けた。新たに風を受けて、わたし達は、高度を上げた――これで、あそこに辿り着く前に着地、何て事態は避けられそう。