『天使の翼』第11章(67)~吟遊詩人デイテのネバーエンディング・アドベンチャー~
「肝心の帽子の使い道だけ違うけれど、たいした想像力だわ……」
「ローラ、じらさずに、あの帽子の使い方を教えてくれないか!」
「フフ。マウンテン・デビルは、もともと陸上生物の進化したものよ。本来空を飛ぶ生き物と比べると、重すぎるし、色々と不利な点がある。中でも決定的なのが、視力の弱さ――遠くを見る能力も、動体視力も、とても鳥型生物には敵わない。その代わりの役割を果たすのが、彼らの鼻先に突き出た、多孔性で空洞の角なの。この角のおかげで、彼らは、風を読み、地形を読んで、大空を自在に駆け巡る……もう分かったでしょ?」
「あの帽子をデビルの角に被せて、空中感覚を麻痺させるんだね!」
ローラは、頷いた。
「そうしておいて、後は、嘘みたいな話だけど、両耳を引っ張ったり、押したたんだりして、巨獣を地上まで誘導する――もちろん、ハンター達にとって都合のよい所へ、という意味よ。……まあ、その辺のこと――デビルの操縦法ともなると、ハンター族の秘伝の類に属していて、本当のところは分からないんだけどね」