住みはじめた場所が好きになる瞬間
なかなか好きになれなかったクアラルンプール
「やっぱり、なんだかんだバンコクの方がええよな」
妻と話をするたびに、口をついて出てくるのは、8年も住んだバンコクのことばかりだった
クアラルンプールに住み始めて、もうすぐ8ヶ月が経とうとしている。仕事も、生活も慣れてきたものの、慣れ親しんだバンコクに、未だに心が奪われつづけている。はやく、クアラルンプールに馴染みたいと思えば思うほど、バンコクが私の気持ちを離してはくれない
バンコク生活との比較がとまらない
留学もしていたこともあり、タイ語も話せるし、タイ人の友達もいた。それに、日本人チームで、バレーボールもしていたので、日本人の友達もいて、交友関係はとても充実していたのは間違いない。
タイ料理も、日本食も、ローカルな屋台から、ホテルのディナーまで、ありとあらゆる美味しい店をたくさん知っていたし、BTSやMRTを使えば、いつでもどこでも、行きたいところへ気軽に行けた。
一方、クアラルンプールの生活といえば、マレー語も話せない、マレー人の友達もいない。おいしいマレー料理の屋台も、いまいちわからないし、日本食は高くて、バンコクのそれに比べるとたいしておいしくもない。
移動は、基本的に車だし、住んでいる場所には、公共交通機関がほぼ皆無。車社会なのか、街ブラもなかなかできる環境ではないのだ。
だから、どうしても、バンコク生活と比較して、あれもないこれもないと、塵も積もれば山となるように、不平不満がつのってゆく
Googleマップを眺めて気づいたこと
これでは、暮らしていてもちっともおもしろくない。妻と一緒に、Googleマップで、面白いところがないか検索してみたのだ
地図を眺めているうちに気づいたのは、やたら、グリーンエリアが多いことだった。
拡大してみるとなんとトレッキングトレイルになっていたのだ
そう、クアラルンプールは、都会で気軽にトレッキングができるメッカだったのである。調べてみると、ハイキングのように初心者でも気軽にたのしめるトレイルから、崖をよじ登るようなガチなトレイルまで、大小あわせて166箇所もあるらしい。(166箇所ってすごくないですか?)
しかも、たいていは、うちから車で、15分〜30分圏内でいけるところばかりで、これまたビックリ
私は、トレッキングには、興味なかったけれども、
山育ちの妻は、トレッキングが好きなので、大興奮。さっそく、近所のKiara Hill に行ってみた
コースはいくつかあって、公園内の舗装された道を歩くハイキングコース、ジャングルの中を歩くトレッキングトレイルがいくつかあって、とても1日では回れない充実度合い
手始めに、ハイキングコースと短いトレッキングトレイルを2時間ほどかけて楽しんだ
猿や、鳥たちもたくさんいて、都会とは思えない大自然を満喫して大満足
さらによいことに、都会の真ん中にあるので、
トレッキングを楽しんだ後は、近所のショップロットにある小洒落たカフェやローカルの屋台で、モーニングやランチも楽しめる
我々は、地元の人で賑わっていたスリランカ料理のモーニングを食べてみた
なんだかよくわからない食べ物だったが、ココナッツと黒砂糖がほんのり香るあまいパンケーキのようでうまかった
その後も、ショップロットをうろちょろしながら、週末の一時を過ごした
目の前にあるもの愉しむ
私は、もう住んでもいないバンコクばかりに気がとられて、今、住んでいるクアラルンプールの魅力に気づくことができなかったのだ。節穴の目をしている自分を恥じた
クアラルンプールには、こんなにもたくさんの自然があって、それを気軽に愉しめるトレッキングトレイルが数多と存在するのだ
どの土地にも、必ず、魅力があって、それを見つける眼力があるか、ないかで、暮らしががらっとかわる
転勤族の私が、肝に銘じておかなければならないことなのかもしれない。少しづつ、しかし、着実に、クアラルンプールのことが、好きになっていくのかもしれない。