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御礼状


田所様

拝啓 突然のお手紙で申し訳ございません。この度は「スローシャッター」御出版おめでとうございます。

ページをめくるたびに、知らない街の香りが漂ってくるようでした。
その国々を地球儀で追いながら読み進め、世界中どこでも朝日が昇れば夕暮れはやってくることも、闇夜は暗くてネオンサインは明るいことも、自然も街もザワザワと様々な音であふれかえっていることも…
ほんの数年前までは当たり前に思っていた光景が、止まっていた時間を超えて再び思い出されました。

田所さんが、初めての場所で初めて出会う人と言葉を交わす場面は、今、私が外国から働きに来ている若者に、日本語や生活習慣を伝えている時間と重なりました。
たどたどしい言葉でしか話せない状態でやってくる彼らは、知らない国へ働きにきたのだという強い意志、強いまなざしで、まっすぐ相手を見つめて話しかけてきます。私は、ゆっくりひとつひとつ言葉を選んで伝えます。毎回、人として試されているような感覚を覚えます。
田所さんが、出会った方々とお互いの信頼を少しずつ深めてゆく様子は、とにかく身に沁みて文字がかかすんで見えました。

海外に行ってみたいと思っていても、家族が反対しているとか、語学ができないとか、理由を並べていましたが、先程、パスポート申請をしました。
知らない街の香りをまといに行くためのきっかけをくださり、感謝しております。ありがとうございました。  
           敬具
   
熱田桂子(うみちゃん)



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