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「vol.4 職人さん100人数珠つなぎ」尾崎 迅(Hayate Ozaki)さん/研磨師&鋳造アーティスト/高岡銅器


fb掲載 artwork and daily goods

オブジェといったアート作品をつくる顔&銅合金が持つ抗菌作用を活かした花器など生活工芸品をつくる顔の2つの顔を持つ尾崎迅さん。
 尾崎さんは、決まった枠に捉われない開拓心で新しい高岡銅器の形を作り上げています。その一例として、高岡銅器という産地特有の分業体制(原型師、鋳造師、研磨師、着色師といった各行程に特化した職人が存在)によって成り立つ世界に身を置きながらも、原型から着色まで、つくる行程の全技術を修得し、研磨職人として仕事をするだけでなく、鋳造アーティストとして企画プロデュースを行いアート作品を生み出す作家としても活動の幅を広げています。

fb掲載 grinder cloth and stone

1:強み//自分にしか作れない曲線がある//

「研磨の仕事は、自分が終わりのタイミングを決めることができるということに達成感がある。」そう語る尾崎さんは、作品の仕上げ部分に携わる研磨師として、表面をピカピカに磨き上げたり、ザラつきのあるマットな質感を表現したりと磨く道具や研磨剤の種類、磨きにかける時間などによって作品が放つ温度感を自由自在に操ります。表面を磨くため使う道具は、布の羽布(バフ)だけでも200種類。加えて、高岡銅器の特徴でもある砂羽布という布羽布の前に表面を荒く削る行程が入るそうです。
 作業風景を見させてもらったのですが、喋っている自分の声が聞こえないほど、研磨機の発する音と研磨した際に削れる部分を吸い取る集塵機の音が大きかったです。尾崎さん曰く、轟音の中で高速で回る機械に対峙しながら羽布に塗る研磨剤の種類や量を調整しつつ、膝や腕を上手く使って、求める形へ磨き上げていく作業はかなり集中力を要するのだそうです。
 尾崎さんの美しい作品を見るだけではわからない過酷な作業環境に正直ビックリしましたが、そんな環境でも尾崎さんだから生み出すことのできる曲線、形を追求される姿に職人とアーティストの両側面を感じました。

fb掲載 kokeshimizu incense container

2:Action //金属の特徴である千年先にも形が残る永年性に着目した作品づくり//

「銅は緑青という色になり酸化膜が出てくるけど物としてはずっと残るもの。高岡には、青銅器時代に通ずる技術を受け継ぎ、進化させているすごい職人が身近にいる。素晴らしい町だと思うし、自分が高岡でつくることで長い歴史の一部分を担っている自負が出てきた。自分が死んでも日本の工芸品として何百年も先の人に作品を見てもらえると思うと楽しい。」そう語る尾崎さんは、長く形が残る素材に、一瞬の儚さを表現した作品「夜盗(ヨトウ)」「常世(トコヨ)」「星霜(セイソウ)」「苔清水(コケシミズ)」を作っています。これらはレクサス匠プロジェクトで発表されましたが、作品は今後も進化するそうです!

//レクサス匠プロジェクト//

//尾崎 迅さんのホームページ//

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