日本の誕生日はいつなの?
「おばちゃん、にほんのおたんじょうびっていつなの」
シンガポール旅行中のあつこ(2023/7/26~8/3)。
4歳の男の子(そうくん)にそう言われました。
あつこ「……」(いつだっけ?)
そうくん(4さい)「しんがぽーるのおたんじょうびはね。8がつ9にちなんだよ。
ほら、いろんなところにはたがあるでしょ。
はなびばあああんってあがるし、ひこうきとぶの」
確かに街の中は
🇸🇬シンガポールの旗でいっぱいでした。
お祝いの雰囲気であふれています。
ーーーー
シンガポールには
年に1度のナショナルデー(独立記念日)があります。
8月9日です。
あつこと理科系夫は、その直前にシンガポールを訪ねたことになります。
戦後、独立はしたものの、
シンガポールは貧しく国土も狭く、どのように国を作っていくのかが大きな課題でした。
ーーー
シンガポール在住のイガちゃんに誘われて
公園のなかの一番高い階段を上りきった場所で。
空軍の飛行演習が始まるのを待ちます。
夕食後のまだ明るい青空。
時刻は午後6時くらい。
イガちゃんのお孫さんの
そうくん(4さい)も一緒です。
シンガポールで育ちましたが、日常会話は日本語です。
そうくんは人懐っこくて、
あつこともたくさんお話しをしました。
突然、耳を塞ぎたくなるような大爆音。
ぎゅうううう
ごぉおおおおお。
そうくん「うわー」
あっという間に通り過ぎて行きました。
さらにジェット機が3機。
ぐおおおおお。
まるで花開くように違う方向に分かれて
ぎゅおおおーんと真上に向かい
そして横に流れていきます。
まるで映画のトップガンの世界です。
そうくんも目をまん丸にして
戦闘機を追っています。
ヘリコプターもやってきました。
周りで見ている人たちからも、思わず声が上がります。
この飛ぶ国旗はシンガポール中をめぐります。
みんな大歓迎するそうです。
ーーーー
だんだん暗くなってきました。
目の前に見えているのは、マリーナベイサンズ。
シンガポールと言えば、真っ先に思い浮かぶ。このホテル。
最上階に船の形みたいな造作物がついています。
実はプールと展望台なのですが。
どうやら、ベイサンズの向かいから
紫色の何かが湧き上がっているようです。
そうくん「きこえるよ!
なしょなるでーのうただよ!」
確かに、何か音楽が流れているようですが。
あつこにはよく聞き取れません。
4歳児の聴力恐るべし。
ナショナルデーには毎年テーマソングが作られます。
YouTubeやウェブサイトで簡単に見ることができます。
幼稚園でも歌を聞かせてくれて、
お友達も好きなフレーズだとか。
そうくん、鼻歌で歌ってます。
と、マリーナベイサンズの上の方が明るくなりました。
どん、どんどん。
バンバン、バン。
赤かったり、白かったり、黄色かったり。
そうくん「おばちゃん、はなび!」
どんどん打ち上げられています。
そうくん、花火を見ながらぴょんぴょんと飛び跳ねて、踊っています。
あつこの周りで見ていた地元の大人たちも
思わず声を上げています。
日本の花火のような細やかな組み合わせはありませんが
とにかく数で勝負です。
休憩を挟んで、打ち上げられて行きます。
ーーーーー
最後は、ひときわ激しく打ち上がって。
ナショナルデーの最後のお楽しみの花火は終りました(予行演習)。
花火の白い煙がたくさん夜の闇の中を流れていってます。
あつこ「そろそろ帰りましょう」
立ち上がって、歩き出そうとすると。
近くで花火を見ていたおばさんが
あつこに話しかけてきました。
「シンガポールの誕生日をお祝いしてくれてありがとう。これどうぞ」
そう言って、シンガポールの小さな国旗🇸🇬を差し出しました。
あつこ「え?」
見ると、国旗の棒の下の方に値札を切り取った跡がありました。
おばさんは手に7本ぐらいの国旗を持っていました。
どうやら自分で買ってきたようです。
あつこ、すっかり恐縮。
旅行者なのに。
おばさん「祝ってくれたんですもの。
どうぞどうぞ。」
あつこは、その笑顔に負けて
「ありがとうございます」
国旗を持ってホテルに帰ったのです。
(そうくんも、もらいました。
得意げに旗を振っていました。)
ーーーー
ホテルに帰ってきて
国旗を飾りました。
じっとその旗を見ているうちに。
今日の自分の行動を思い返しました。
そうくんに「にほんのおたんじょうびは」と聞かれて、
とっさに返事ができなかったこと。
(日本の誕生日は2月11日です。)←建国記念日
日本の国旗を持ってお祝いをした経験が
あつこはないのです。。。。。。。。
考えてみると、この海外旅行中に
日本のパスポートが私を守ってくれました。
私がこうして安心して旅行できているのは、
日本という国が私の身を保証してくれているからです。
5年前に台湾に行った時のこと。
向かいから歩いてきたおじさんに理科系夫が
「日本人ですか?ようこそ」
と言われて、握手を求められたことがありました。
(何かされるのかとビクビクしたら、純粋に歓迎してくれただけでした)
7年前にパリに行った時
オペラ座であった地元の70歳くらいのマダムに
「日本から来たの?ミステリアスな国ね。行ってみたいわ。」といわれたことがありました。
そして、彼女は、購入したばかりのオペラのプログラム(蝶々夫人)を私に見せてくれました。
ーーー
脈絡なく、いろんなことを思っていると
だんだん悲しくなってきました。
なんで私は日本の誕生日をお祝いできないんだろう。
もっと日本人であることに誇りを持てないんだろう。
シンガポールにいて。
遠く日本を思う。
日本では国旗を掲げると
すぐ右とか、左とかいろんな考えで批判をされてしまいます。
そんなことは全部飛び越えて。
自分を守ってくれてる日本を
もっと愛していいんじゃないだろうか。
海外旅行から帰ってくると
やっぱり日本はいいなぁと実感します。
ーーー
いろいろな国がいろいろな歴史を持って、
この世の中に存在しています。
すべてが正しいわけでもないし、
すべてが間違っているわけでもありません。
そうくんが
「しんがぽーるのおたんじょうびをおいわいするんだよ。
たのしいよ」
と明るく言っていた姿。
「シンガポールのお誕生日お祝いしてくれてありがとう」
とニコニコしていたおばさん。
自分の国のお誕生日がお祝いできると
その人の心に自信が満ちあふれてきます。
自分の国を愛するって、ごく普通のことでしょ。
日本人ももっと国を愛して
自分に自信を持ちたい。
国力が衰えていると言われる今だからこそ。
だって、私、やっぱり日本が好きだもん。
いろいろな難しい気持ちを乗り越えて、
日本が大好き。
ところで
もしも、日本の4歳児に
「日本の誕生日は?」と聞いて答えられる子供っているのかしら。
(ええと、弱虫なので、論争を挑んでこないでね。
本当に、単純に、純粋にシンガポールでそう思っただけなので。
その他の意図はありません)