判断材料がない?!あらためて、データドリブンとは
こんにちは、久我です。突然ですが弊社、ウイングアーク1stのCMが、今日から関東エリアで放映開始されています。タレントの有吉弘行さんが社長に扮して、意思決定の判断を迫られる…という内容で「判断材料 社長室」篇と「判断材料 役員会議」篇の2パターンあります。
キーメッセージである「データ活用は、ウイングアーク。」が、多くの方に届きますように…!ということで今回は、「判断材料がない!!」なんてことにならないよう、あらためてデータドリブンについてお話したいと思います。
データドリブンとは、一言で表すのであれば「目的達成に必要なデータを収集・分析して意思決定・活用を行うプロセスとサイクル」で、
「レベニュープロセスマネジメント(Revenue Opsと言った方が分かりやすいかもしれません)」を行う上で欠かせない手法の1つです。
事実に基づく定量・定性情報は事業に関わる全員の共通言語になります。
複数の部門が組織全体の置かれた状況を共有するということは同じ景色が見えているということ。
議論の食い違いも減り、コミュニケーションコストを大幅に削減できます。また、置かれた状況に対する洞察や、対策案もより多くのメンバーの知見を活用することができます。現在の状況を正確に捉え、適切に対処する。その環境を整えていく手法がデータドリブンです。
データドリブンの潜在価値は営業・マーケティング部門が最大
データドリブン導入により潜在価値がもっとも大きい部門は営業・マーケティング部門というデータが提示されています。これには大きく2つの理由があります。
1つは大きな就労人口を持っているということ。日本国内において営業職の就労人口は2018年の調べで864万人となっています。ここに企画・事務職などに分類されるマーケティングや、専門職などに分類されるプリセールスなどを加えると推定1,000万程度となり、非常に大きなポテンシャルがあります。
もう1点は生産性の改善余地が大きいということ。従来、多くの営業組織では勘・経験・努力、といった精神論ばかりが重要視されてきました。かつて日本の高度経済成長期の中、モノを作れば売れた時代、そういった環境では営業組織でもっとも重要な戦略は、とにかく人員投資をして、彼らが長時間働けば成果がついてくるというシステムが機能していたのかもしれません。
しかし、競争環境は大きく変わり、モノが飽和する時代、競争する相手も従来のプレイヤーと顔ぶれが大きく変わりました。私が身を置くIT産業も同様です。テクノロジーだけを競争力にする時代は早々に終焉を迎え、顧客に向き合い、組織のアップデートに本気で取り組まなければ競争優位を築くことは困難です。成長する競合企業は変化する環境に俊敏に動き、組織のアップデートを重ねています。多くの人員を投資して、根性で長時間働くだけで成果を上げ続けていくことは困難な時代になりました。
データドリブンは、営業組織において限られた人的資本を有効に活用し成果の最大化に結びつけていく手法です。営業組織のパフォーマンス向上に向けて少しでも皆様にお役立てできたら幸いです。
データドリブン注目の背景
データドリブンが注目されてきた背景について解説します。
❶情報技術の発展により顧客の購買体験が変わった
❷デジタルシフトが進み、企業内の情報技術による変革が急速に進んだ
❸同時に科学的な営業モデルが組織に実装され従来の勘や経験、努力を中心とした営業モデルがアップデートされた
❶最も大きな要因は、デジタル技術の浸透とインターネット環境の普及です。誰もがインターネットにアクセスし、必要なデータを入手することができる時代、同時にデータを賢く利用することが企業の競争力となる時代になりました。
ビジネスにおいても購買担当者の情報収集媒体としてネットは重要な存在になっています。これはB2CだけでなくB2Bにおいても同様です。
以前は検討中の商材に関して購買担当者が入手できる情報は限られていました。そのため購買担当者は何らかの商品やサービスについて購入の検討を行う際には、販売元である企業に対して問い合わせ、不足する情報を補う必要がありました。販売元の営業担当は、購買担当者からアクセスがあった時点を起点にして営業活動を行うことが出来ました。
しかし、現在は企業の公式サイト以外にも、ソーシャルメディアや、業界や業務に特化型したメディアが細分化しています。B2B向けの商材についてもレビューサイトも登場しており、企業が発信する情報以外にも製品購入の判断となる多くの情報が幅広く発信されています。
つまり、購買担当者が販売元となる企業に問い合わせをせずとも多くの情報を入手することができます。それにより購買担当者は販売元に問い合わせを行う前に、ある程度製品の絞り込みを行うことが出来るようになりました。
従来問い合わせが来ていたタイミングよりも早い段階で購買担当者との接点をつくり自社商材を認知してもらう必要があります。そうでなければ自社に問い合わせが来る前に競合他社の製品の購入を決めているという状況が以前よりも増えると予測されます。
企業は機会損失を回避するために、これに対応した販促活動を強化しています。実際に、広告出稿の推移でも企業のデジタル領域への販促活動の注力ぶりが伺えます。
購買担当者への早期アプローチを行うためにブランディングやマーケティングといった潜在顧客層へアプローチしていくチームが以前にも増して求められるようになりました。
また、デジタル領域での顧客接点を開発することで顧客の属性情報や、どのような経路で検討を進めているのかといった顧客の行動情報のデータ取得が容易になりました。これらのデータを解析することにより購買プロセスにおける顧客体験を高め、検討プロセスを次のフェーズに進めるための専門人材の需要が高まっています。
❷次に企業内のデジタルシフトについても考えていきたいと思います。
生産技術や産業自体を大きく進歩させ、第四次産業革命といわれる中、デジタル技術の実装において日本は世界の中で大きく後れを取っています。2022年9月28日にスイスの国際経営開発研究所により発表された「世界のデジタル競争力ランキング22」では63か国中29位と過去最低の結果となりました。
実際に日本の企業の生産効率は米国の58%と非常に低い状態です。それに加え労働人口は2020~2035年に12%減少する予測がされています。更に労働市場の流動性は高まっており、転職者数は2010~2019年に155%増加。
企業は限られた資源を有効に活用し、生産の拡大を行う必要性に迫られています。
こういった背景に加えて、2019年以降のコロナ禍の中において、非対面の業務に迫られるなか、リモートワーク化を中心にデジタルシフトが進んだこともあり国内のDX投資は増加傾向にあります。
特にコロナ禍においては従来のシステムに比べ、より早期に導入が可能なクラウドサービスが牽引する形で企業のデジタルシフトが加速しました。現在ではセールスやマーケティング向けに多くのテクノロジーがクラウドサービスとして提供されています。
・名刺管理/SNSなどの人脈管理ツール
・Webアクセス解析ツール
・SEO対策ツール
・MA(マーケティングオートメーション)ツール
・SFA/CRMなどの顧客管理ツール
・Web商談や電話通話解析ツール
・Web会議やチャットツール
・セールスイネーブルメントツール
・コミュニティサクセスプラットフォーム
これらのテクノロジーの登場により企業内においてもデータ取得が容易にななったのです。
従来営業活動の多くはブラックボックス化されており、営業プロセスにおける名刺情報や活動状況、顧客との対応履歴、提案ノウハウなど様々なものが個人に蓄積されていました。
しかも顧客との接点管理も紙媒体の名刺やExcelの台帳に登録されているだけで、多くは静的な情報として活用頻度は限られていました。
しかし、今ではこれらの情報はデータ化され、組織全体で活用できる資源に!!
また、テクノロジーの登場により、これらの導入企画や実際に運用する専門人材の登場や、組織活動の高度化に伴う分業化にも繋がりました。
米国では営業プロセスを分解し、営業組織への生産技術向上のための投資が行われ、科学的な手法による営業組織パフォーマンスの向上が1980年代から進んでいましたが、日本においても労働人口や国内市場の縮小、競争力向上のための生産技術開発の需要、コロナ禍による外部環境の大きな変化などいくつもの要因が重なり営業組織にも科学的な手法が広まってきています。
❸分業化についても少し触れていきたいと思います。
従来の営業組織では、それ単体で販売プロセスのすべてを受け持っているというケースもありました。しかし前述の通り、いくつかの要因が重なり営業組織の分業化が進んでいます。
・営業プロセスを分解し、プロセス単位の役割を担う専任部門の登場
・専任部隊の登場によりプロセス単位の専門性が高まり技術開発がされた
・様々な人材のパーソナリティに合わせた適材適所の人員配置の可能性が高まった
例えば、提案力やクロージング能力に長けている人材は最終フェーズの検討顧客に集中した方が、より多くの成約を得ることができると思います。その前工程のフェーズの検討顧客とのコミュニケーションについては、ヒアリング能力や対話能力、多くの顧客との対話を計画的に実施できる管理能力に長けている人材に任せる。成約後のお客様と長期的なリレーションを構築するためには継続的に顧客との関係性を構築し、導入や定着、運用フェーズの支援を行う専門知識を有している人材を配置する。
また個々の役割に応じたデジタルツールや専門的な技法も増えてきており、個々の専門性を更に高める結果に繋がっています。
例えば、ある企業のインサイドセールス部門では商談に特化したWeb会議システムを利用しています。このツールは商談に特化されており、提案資料の投影や商談に必要な情報表示など商談の補助機能に優れています。そしてZoomやTeamsとは異なる操作性が求められます。またWeb会議では音声と画面上に投影される画像が顧客とのコミュニケーションの中心となりますので、カメラの画質やカメラの角度、フレーム内に収める理想的な映り方、マイクの音質や適切な話速や話量などを定めています。
電話で顧客と会話する際も専用のツールを利用し、会話内容を記録し、顧客との対話履歴として音声データや自動変換によるテキストデータを自動でSFA等へ連携することが可能です。顧客との対話内容が組織内で共有され、直接電話対応していた担当者が不在であっても、顧客との対話内容を引継ぐことが可能です。また、会話内容はAIによりスコアリングされ、対話のスキル向上に向け教育コンテンツとして活用しています。
顧客の認知経路が複雑に増えたため、マーケティングにデジタルマーケティング機能を強化している企業も増えていますが、デジタルマーケティング領域で十分なパフォーマンスを発揮するためには、多くのデジタルツールを使いこなす専任の人材が必要で、獲得したリードを育成するためのナーチャリング手法にも同様の専門知識や技術が求められます。
このように、営業プロセスを複数の組織が連携することで担う分業化体制を導入し、組織全体の総和を高めようとする企業が増えています。これは個々のプロセスにおける顧客体験を高め、より効率的、効果的に顧客に次の検討フェーズへ進んでいただくことに繋がります。
さらに、営業プロセスの分業体制とともに専門化が進み、同時に個々の活動をサイロ化せずに情報連携することが重要となりました。それぞれの組織の活動をリアルタイムに同期させ、成果を最大化させるためにもデータドリブンが重要な手法となります。
最後にデータの優れた点について。
データは複製も容易ですし、疲れることがありません。データはプログラムを動かすためのキーとなり、業務の自動化や省力化が可能です。
例えば営業組織では予算実績報告や着地見込みといった営業報告を行う企業が多いと考えられますが、SFAに顧客との対応履歴が適切に入力されていれば、事前に設計されたプログラムに従い営業報告書の自動生成が可能です。
分析や集計やレポート作成のために使われていた人的資本は不要となり自動化・省力化を進めることが可能です。それだけでなく大抵の場合、これらのレポートサイクルは週次や月次など決められた間隔で行われていましたが、自動化されたことにより、いつでもリアルタイムに必要な情報を引き出せます。
どんな企業もデ―タドリブンな組織に
企業のデジタルシフトが進んだことで営業プロセスに関わる全体の動向をリアルタイムに可視化することも容易になりました。経験や勘・度胸といった従来の属人性の高い意思決定から、データやエビデンスに基づく科学的な手法=データドリブンによる組織マネジメントへの転換を実現するべきです。
データドリブンな営業組織は省力化や自動化による効率化だけでなく、データの蓄積により個々の活動や組織の活動がナレッジ化され、組織自体が学習することでアップデートすることが可能です。リアルタイムに組織状態を把握することが出来るようになり、意思決定、つまり判断はより速く適確になり、環境変化に俊敏に対応する組織へ変貌することができるのです。
今日もお読みいただきありがとうございました!