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「慈」と「悲」でコンパッション?仏教における慈悲とはなんなのか?

思いやりや慈悲と訳されるコンパッションは西洋からきた心理概念ですが、元ネタは仏教と言われています。

ぼくは上の記事でご紹介されている石村先生のコンパッショネイト・マインド・トレーニングがきっかけでコンパッションに強い興味を持ったのですが、元ネタである仏教もすごく気になったんです。

そもそも宗教に興味なんてなく無宗教派ですが、生きやすさへのヒントが見つかるんじゃじゃないのかなという軽い好奇心で調べてみました。

仏教における慈悲にいたるには、まず「縁起(えんぎ)」という考え方(すべての現象は単独で存在せず、お互いに影響を与え合っている)から始まり、次に「四聖諦(ししょうたい)」(苦しみの原因とその解決方法)を通り、次に「八正道(はっしょうどう)」(苦しみをなくすための8つの方法)へとつながります。


最後が慈悲なわけですが、今日は慈悲について詳しく書こうと思います。夫婦関係改善に欠かせない「思いやり」、その発祥元である仏教概念を知っておくことは損ではないはず。

仏教における「慈悲」は、他者の幸福を願い、苦しみを取り除こうとする心の状態を指しています。コンパッションの定義も同じですね。

そして面白いのは、慈悲のそれぞれの漢字に意味があるという話です。

慈(じ): 他者の幸福を願う心。これは他者に楽を与えることを意味する。

悲(ひ): 他者の苦しみを取り除こうとする心。これは他者の苦を抜くことを意味する。

他者の幸福を願い、苦しみを取り除くという意味が言葉に含まれているんですね。慈悲という言葉をなにげなく使っていたけど、まさかこんな意味があるとは。

そして、慈悲の本質は次のように定義づけされています。

仏教における慈悲の心の本質は、自己利益や条件を超えた無償の愛と共感に基づいています。

この心は、他者の喜びや苦しみを自らのものとして受け入れ、それに対して真摯に対応する姿勢を持つことを意味します。

慈悲の心は、単に他者を慰める行為ではなく、彼らの痛みや悲しみを深く理解し、それを和らげるための具体的な行動をとることを奨励しています。

https://tokuzoji.or.jp/jihi/


無償の愛と共感に基づいた行動。確かに夫婦がお互いにこういった行動を取り合えるといいですよね。でも実際には難しそうですよね。

いったいどうすればそんなお釈迦様みたいになれるのか?仏教では慈悲を実践するための無財の七施(むざいのしちせ)というものを提唱しています。

これなら誰でも慈悲を実践できるよってやつですね。

1.眼施(げんせ)やさしい眼差(まなざ)しで人に接する

2.和顔悦色施(わげんえつじきせ)にこやかな顔で接する

3.言辞施(ごんじせ)やさしい言葉で接する

4.身施(しんせ)自分の身体でできることを奉仕する

5.心施(しんせ)他のために心をくばる

6.床座施(しょうざせ)席や場所を譲る

7.房舎施(ぼうじゃせ)自分の家を提供する

いろいろありますが、(これができれば苦労しないよ)って人もいると思うんです。

そりゃごもっともだけどさ、いったいどうすればそんな優しい人になれるのさと。

そこで必要となるのが瞑想です。お寺で座禅体験をしたことありますか?あれ、すごく気持ちが洗われるいい体験です。

座禅は本気度が高いけど、ライトな瞑想なら家でもできちゃいます。こんな感じに。これは慈悲の瞑想と呼ばれていて、自分自身への思いやり(セルフコンパッション)を育てられるのでおすすめです。

  1. 快適な姿勢を取る: 自分にとって快適な姿勢で座ります。

  2. 呼吸に集中する: 自然な呼吸に意識を向け、心を落ち着かせます。

  3. 慈悲のフレーズを唱える: 自分自身に対して「私は幸せでありますように」「私は健康でありますように」といったフレーズを唱えます。

  4. 他者に対する慈悲: 次に、親しい人や友人、さらにはすべての生きとし生けるものに対して同様のフレーズを唱えます。

仏教におけるコンパッション(慈悲)をこれまで3回にわたって調べてみたけど、正直なところ敷居が高いなって感じてます。

用語が多くてステップが細かく分かれてるんで、はっきり言って覚えられないんですよね。

コンパッションの要素は三つだけなんで、すごく覚えやすいです。セルフコンパッション、共通の人間性、マインドフルネスですね。

セルフ・コンパッション:
自分が失敗したり困難な状況に直面したときに、自分を厳しく批判するのではなく、優しく思いやること。自分に対して親友に接するように接し、ポジティブな言葉をかけること。

共通の人間性(Common Humanity):
失敗や困難は誰にでもあるという認識を持つこと。自分だけが苦しんでいるのではなく、他の人々も同じような経験をしていることを理解し、孤独感を和らげる。

マインドフルネス(Mindfulness):
現在の瞬間に意識を集中し、感情や思考をありのままに受け入れること。過去の失敗や未来の不安にとらわれず、今ここにある自分の感情や経験を冷静に観察し、受け入れる。

ただ、これら三つの背景には過去記事で取り上げた「縁起(えんぎ)」「四聖諦(ししょうたい)」「八正道(はっしょうどう)」があるということを理解しておくと、コンパッションへの理解がさらに深まることも確かだと思います。

仏教って身近な存在なのに知らないことが多くて、今回調べていて面白かったです。

夫婦関係改善って、「自分と他者への思いやりの構築」がメインの作業だと思うんです。その時に思いやりの概念の元ネタである仏教に立ち返るのは、けっこう役立つと思うんですよね。

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