【宝石商リチャード氏の謎鑑定】愛と優しさを信じろ

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 「宝石商リチャード氏の謎鑑定」シリーズ、4巻までを読みました!

 友人たちが一人また一人とハマっては勧める側になっていく中読んでみたところ、愛情や信頼、美しさについて誠実に掘り下げられているところが案の定というかとても好きになってしまいました。最新刊までは追いついていないものの、晴れて私も勧める側になってしまったというわけです。

 ツイッターで都度感想は呟いていたのですが、改めてこちらにまとめつつ、まとめながらもっと語りたくなったことを書いていこうと思います。

 各エピソードのストーリーの「謎鑑定」そのものについてはあまり語っていないですが、好きだと思った言葉を作中から引用する部分などはあるので、一応【4巻までのネタバレあり】ということでご注意願います。

 見出しですが、作品タイトルを含めると長くなるので入れませんでした。
 1~4がそのまま1~4巻のそれぞれの感想、5が改めてまとめです。

1.誰かが何かを大切に想うこと

 まず1巻ですが、エピソードは以下の通りでした。

case. 1 ピンク・サファイアの正義
case. 2 ルビーの真実
case. 3 アメシストの加護
case. 4 追憶のダイヤモンド
extra case. ロ ーズクオーツに願いを

 これが1冊目を読んだところの読了ツイートです。なんかこう、宝石商は、何かを大切に想うこと、誰かを大切に想うこと、何かを美しいと思うこと、誰かを美しいと思うこと、そういった要素が織り交ぜられていて素敵なんですよね……。何に惹かれるか、どうして惹かれるかということの言語化にとても誠実に向き合っているように感じます。

 想いの元は単純なこともあるのに、それがどんどん環境や相手の想い、別の誰かの思惑と重なることで複雑になっていって、経緯も複雑になってしまって……。それが「謎鑑定」で解き明かされたとき、まっすぐな想いに辿り着くことがあったり、謎鑑定の過程でまっすぐな想いが見えたりするのが、すごくきれいな物語だなと思います。

 ルビーのエピソードでリチャードが言った「多くの度量衡が存在する世界のほうが、生きやすく、美しく、豊かであると考えます」(p.136)は本当に、まわりくどいくせに情熱的で説得力があってよかったですね。
 私個人の話ですが、性的指向の自認がバイorパンセクシャルで、実際付き合っている人の性別が同じです。
 同性愛的要素を物語の中で扱って、それに対する態度で登場人物の性格が示されるっていう流れには、手法というか、ツール的だなって思わなくもないので、たまに複雑な気持ちになることはあって(性的少数者の問題に限らず、自分が抱えてる何かしらにフィクションで出会ったとき、そういう気持ちを感じることがあるんだろうと思います)今回もそういう気持ちに全くならなかったわけではないんですけど、でも正義の、

「真美さんに何かあったら、死ぬほど悲しむ人がいて、真美さんが自分を大切にすると、その人たちを大切にすることにもなるんですよ」
「心底人を好きになると、人ってどんどん変になるでしょ……変で当たり前です」(p.134)

っていうあたり、同性だからとかそういうんじゃない正義の言葉でよかったなあ。
 まあ私の場合はあんまり社会的なあれこれを気にしていないのと(実感としてそういう偏見に出会ったことがあまりなくて、今のところまだそこまで結婚とか子供とか周りから言われる年齢じゃないから&今の時点で周りにそう言ってくる人がほぼいないから)、性格的にも特に二人にはあまり感情移入することはなかったんですけど、感情移入しないな、というだけのキャラクター造形がなされていたということで、そういった確かな描写力も安心して読み進められる要素のひとつだと感じています。……っていうとすごく批評的で上から目線っぽいので気が引けますが、キャラクターが立っていて、それぞれの言動に説得力や納得感があるのは間違いなく魅力だと思っていて、作品の好きなところです。

2.優しさと強さのスパイラル

 2巻の目次は以下の通りでした。

case. 1 キャッツアイの慧眼
case. 2 戦うガーネット
case. 3 エメラルドは踊る
case. 4 巡りあうオパール
extra case. ユークレースの奇縁

 そしてこちらが2巻読了時のツイート。やはりオパールのエピソードが印象に残っています。
 相手の幸せを願ったり、そのために行動したりすることは、自分がそうしたいと望むのだから、相手のためではなく自分のエゴかもしれないということ。

それでもあなたは間違っていない。あなたの正しさの根底にあるのは、己の道を押し通そうとする頑迷さではなく、暗闇の中でも他者に優しくあろうとする気高さだからです。私はそういうありかたを尊いと思います。心から。時には羨ましくなるほどに(p.261)
俺は誰に自分のありかたをけなされようが、褒められようが、何も言われまいが、結局自分のやりたいようにやることしかできないと思う。そうしないと俺がとても苦しいから、という身勝手な理由で。(p.267)

 それでもそのありかたを尊いと言い切るリチャードと、身勝手な理由だという部分も呑み込んで、こういう自分で生きてゆこうと決める正義には、正しさが強さであるというよりも、優しさが強さなのではと思わされました。
 引用した正義の言葉には、自分のありかたを貫くために祖母やリチャードの言葉を支えにさせてもらおうという決意みたいなものが続きます。
 優しさがイコール強さではなくても、優しさを支えに正義は強くあることができ、正義が発揮する強さは優しさとして受け取られることが多い。そういうスパイラルが彼を取り巻いていると思うと、愛おしいというか美しいというか……。

 そして、支えになるような優しさだとか、目指したいし並びたいと思える憧れだとかをくれた相手にこそ、幸せを願ったりそのために何かしたいと思ったりするわけで、そうやって巡る想いの発端になるようなありかたはやっぱり、身勝手なんかではなく気高さだなと思えてきます。

 リチャードが正義を待ってドライブに連れ出したことを思うと、二人は間違いなくお互いへの優しさや心遣いでお互いを支えているし、そういう想いの始まりが他者を見過ごせない「身勝手な」信念によるものだとしても、正義は自分自身の信念で自分自身を救っている。
 それは何というかとても健康的で建設的なありかただなと思いますし、この人に優しくしてもらったから優しくしたい、という部分で両想いであること、相手の優しさに憧れるといったことは、本当に得難く尊いことだなとも思います。
(ちなみにこの部分は4巻を読む前に書いたので、4巻読了後の身としては健康的で建設的とはいえ「自己認識の甘さ」が前提にあるのかと切なくなります)

 あと詳しく語ることを割愛してしまいますが、他に二巻で好きだったのは、美しさについて評価する側と評価される側の立場が付きまとうということ、言葉にならない美しさは言葉以外で表現すればいいんだ、という部分でした。

3.愛のありかた

続いて3巻。以下のエピソードが収録されていました。

case.1 求めるトパ ーズ
case.2 危ういトルコ石
case.3 受けつぐ翡翠
case.4 天使のアクアマリン
extra case. 傍らのフロ ーライト

 ツイートの中でも書いていた通り、3巻では主に谷本さんを通して、恋愛観が密に書かれていた部分が印象に残っています。

 宝石商シリーズの恋愛に関する扱い方やバランス感覚も、私にとっては大きな魅力です。
 谷本さんの存在によってリチャードと正義の関係を恋愛感情だと解釈させず、ただ強い愛情だというところで留めていること、そのままで(恋愛感情じゃないままで)人間対人間の強い愛情が尊いと思わせてくれること、正義がまず人間として谷本さんに向き合っていて、恋愛感情以前に誠実な友情関係を築いていること……。

 谷本さんの「恋愛感情が分からない」はアセクシャルなのかなとも思ったので(決して決めつけはしませんが)、私個人が元々持っている感覚として「もったいない」は恋愛感情を抱ける側から感覚が分からない側へ与えられる言葉として地雷なのでは、とも思ったのですが、ほんとうに、谷本さんの言うように、「この人は悪いことは言わない」っていう信頼を正義に抱いているから、無視できないしずるい。

 ところで正義の持つ「好き」について、リチャードに対して改めてお前は俺にとって特別なんだと告げる場面と、谷本さんに結婚しないでほしいとお願いする場面、正義の「好き」に関する表現が割と近くに続くので、以下に並べてみます。

ありがとう、と伝えるよりも、好きなんだと言いたいことがある。多分何に対して礼を言いたいのかわからなくて、かつ自分が相手に対して感じている『恩』のようなものが、自分の体にえんえんと効果を及ぼしているのを感じる時だ。(p.227)
「天使って、こういう存在だと思ったんだ。キラキラして、きれいで、でも気取らなくて、水みたいに誰にでも必要な……心の底からいつも『好きだ』って気持ちが湧き出てくるような、大切なものとか……そういう存在なんじゃないかって思ったんだ。それで、谷本さんにぴったりな石だと思ったんだ! 俺にとって谷本さんはそういう人だから!」(p.236)

 こうして見るとやっぱり二人に対する正義の好意の形は少し違っていて、4巻の要素を先に借りてしまいますが、それぞれ違う形で結晶化の状態にあるように見えます。

 正義がリチャードからもらった「恩」のようなものは正義自身の一部になっていて、そのことを正義は大切に想っている。何に対して礼を言えばいいかわからないくらいだから、好きなんだと伝える。
 これは4巻を既に読んでいる状態で書いているからこそ思うことかもしれませんが、正義は間違いなく自分ばかりがたくさんもらっていると感じていて、自分が相手に与えたものや相手が自分をどう想っているかが見えていない気がします。
 本来は人間性がすごく相性のいい同士なのに、だからこそ助けられることや与えられることが多すぎて、結晶化の状態で自分が与えた影響の方は見えていないというか。

 一方、谷本さんに対して伝えた言葉で印象的なのは「水みたいに誰にでも必要な」というところで、だって「俺にとって必要」ではなく「誰にでも必要」なので。もちろん彼女との出会いを思えば納得するのですが。
 リチャードに好きだと言いたくなるときに付随するのが「(自分が)もらった『恩』のようなもの」に対して、彼女に関しては「誰にでも必要な」「大切なもの」と言っているのも、距離感が違うなと思います。どっちが違うとか強いとかではなく。

 このあと谷本さんに「天使じゃないよ」と伝えられても、正義は彼女の黒い髪がふちどる輪郭が好きで、自分の好意を知っていて知らないふりをするような人ではなくてよかったと安心していて、全然好きで……。
 でもきっと好きでいられるのは正義が頑張って谷本さんと信頼関係を築いていて、谷本さんが天使じゃないと言ったとしても、彼女はすごく素敵な人なんだと既に分かっているからだと思うので、愛おしくて仕方ないです。天使じゃないと言われても4巻で「正真正銘俺の天使」と言っていますしね(p.277)。

 3巻はそれから、トルマリンといい翡翠といい、リチャードの背景とともに結構無茶する一面が見えてきた巻でもあったなと思います。2巻の5時間待っていたあれもそうですが、本当にこの人頑固なんだなというのが……。

 こうして書いてみると、当たり前ですけど3巻は4巻に引き継がれる要素が本当に多いんですね…谷本さんとの話、リチャードに好意を念押しで伝えたこと、リチャードの頑固な行動力……。

4.大切な人のために自分を想うこと

そして4巻です。収録エピソードは以下の通りでした。

case. 1 ? ? ?
case. 2 アレキサンドライトの秘めごと
case. 3 導きのラピスラズリ
case. 4 ホワイト ・サファイアの福音
extra case. バイカラ ー ・トルマリンの戯れ

 2ツイート目でも引用した、谷本さんが正義の背中を押す言葉(そしてきっと自問自答を繰り返しながら自分の中で育ててきたのであろう言葉)が本当に本当に好きで響いて、個人的な考えとも一致していたので思わず泣いてしまって……。

恋してるかどうかって、他人に決めてもらうことじゃないと思う。自分の心で決めるものだよ。正解がわからない時って、焦るから、既製品の答えが欲しくなるけど、『それは恋だよ』って誰かに言われても、逆に『そんなのは恋じゃないよ』って言われても、何の意味もないと思う。だって自分の心の持ち主は自分だけだもん。それに、誰かを一番好きな気持ちの全部が全部、恋愛ってわけじゃないと思うし、そういうのを大雑把にまとめちゃうのは、私はあんまり好きじゃないな……(p.58)

 シリーズに一貫していると思うのですが、こういう、ありのままから変えることになるかもしれないのなら無理に決めないでいいと言ってくれるような優しさが好きです。

 しかしそのあとに、自分の立場や価値観を決めて示さざるを得なかった人たちのエピソードが続くのだから、尚更悲しくやるせない。
 「優しすぎると疲れませんか」と正義が言ったように、ジェフリーもリチャードも、優しさを押し込めるように悪役を引き受けようとしていて、だけど優しすぎる人がそんな形でしか優しさを発揮できない環境のままならなさ。
 まあ「優しすぎると疲れませんか」は正義が言うかって感じですけど。だけど、それで言うと正義は自分が押し込めずに助けずにいられない人だから、まあジェフリーにとってはそういった部分が癪なのは当たり前なんだろうなあ。疲れませんかというその気遣いだって、正義がつい発揮してしまうお節介の一環である気がします。

 ただ正義も今回、最後にとんでもない悪役を引き受けようとするのだから、今回のケースがどれだけ正義の無力感を募らせたのかということと、正義の無力感はきっと「もらったもの」の裏返しでもあるので、どれだけリチャードが正義に影響を与えてきたかということ。それから何より、リチャードが言ったように、どれだけ自己認識が甘いかということ……。
 正義の役に立とうとする在り方について、3巻で谷本さんが正義くんの優しさは切実な感じがすると言っていたことは的を射ているように思います。

正義くんの親切は私とは違う、もっと切実なところから出てきてる感じがする。別に誰かに親切にしなくても死んだりしないのに、正しくないことが目の前にあっても見ないふりをすればその場はしのげるのに、正義くんはそういうことはできないでしょ? つらいだろうなって思うけど、私そういうの、すごく憧れるの。(p.241)

 身をもって正義の切実な親切を体感したリチャードは、とんでもない切実さを和らげるために以下のように指摘します。

「いつかの夜に、あなたは自分で言っていた。大好きな相手に何もできないやつだとがっかりされるのが怖い、薄情者と言われたくないだけだと。あなたの言う『正義の味方』とは、『誰もが困った時に使える便利な道具』に近いのでしょう。つまるところあなたを苛む無力感こそが、その無鉄砲な行動の根源です」(p.230)

 正義の親切にせずにいられないありかたが気高く美しいのは間違いない。谷本さんが憧れて、「近くに正義くんがいたら」と想起することがあるくらいに。リチャードが時に羨ましくなるくらいに。
 それでも、リチャードが言う通り、人の役に立つということは「人生の主軸に据えるべきものではない」。

何故なら今を生きているのはあなたで、その人生の主役はあなたでしかありえず、あなたの大好きな人たちはみな、あなたの幸せを願っているから。あなたが役に立つか立たないか、社会貢献するか否か、周囲の人々に感謝されるか恨まれるかなど、副次的な問題でしかありません。(p.232)

 リチャードが本当にしたかった説教、「幸せになってほしいと願っている」という言葉は、リチャード自身が呪いになってしまったかもしれないと振り返った「あなたは間違っていない」という言葉に優しく強く添えられる祝福のようだなと思います。
 そこまで切実に役に立とうとしなくたって、正義のありかたそのものが、憧れや愛を抱かせる。正義を愛する人たちが正義に感じるその気持ちはきっと、3巻のエピソードで正義がリチャードに対して感じた、

ありがとう、と伝えるよりも、好きなんだと言いたいことがある。多分何に対して礼を言いたいのかわからなくて、かつ自分が相手に対して感じている『恩』のようなものが、自分の体にえんえんと効果を及ぼしているのを感じる時だ。

この気持ちととても似ているように思うのです。

 その人間性だけで誰かに良い影響を与えたり好意を抱かせることがあって、そういうことがお互い巡っていく関係って、改めて考えると本当にすごいことで……、だってその人に出会うことやその人を好きになることなんて分からないうちに人間性は培われたに違いなくて、その相手に出会う前から共鳴できるものを育んでいた、ということだと思うので。
 自分が自分のために築いてきた、自分で身勝手だと思うことがあってもどうしようもないありかたが誰かのためになることがある、その誰かのありかたを自分も愛することができて、両想いが巡っていく、ということの尊さ。
 これは作品に出会う前から持っていた私個人の考えですが、そういう人と出会ったときに、自分はこういう自分で生きてきてよかった、と実感することができるのかもしれないと思っていて、そんな実感が正義やリチャードたちにも訪れているのかなと願います。

 4巻は終盤に谷本さんの話題が出てくるのも本当に好きなポイントで、あれだけの愛を結晶化よりももう一段階確かなものにしても、恋愛ではない強い愛情であるというバランス感にやはり安心します。

5.愛としか言えない

 愛しか言えない……、みたいなのは先に読んでいた友人たちも言ってた覚えがあるんですが、本当にここまでの感想をまとめようとするとこれしか出てこなくて……。

 ただ、自分が1作目の読了ツイートで呟いた感想は変わらず一貫しているなと思います。

 物の価値、美しさ、誰かを好きだと思うこと、とか、誰かが誰かに/何かに向ける想い全般の描き方がとても好き。

 宝石という、基本的に美しいものだけれど、人によってその価値の置き方が異なるものが扱われていること。
 絶世の美人であるリチャードに対しても、その美しさについての感じ方や価値の置き方は人によって違うこと。モノに対して美しいと思うことと、人に対して美しいと思うことの違い。
 それから、美しいものを愛すること。なぜ美しいと感じるのか。
 誰かを愛すること、何かを愛すること。その想いをどう表現するかということ。
 優しさという、想い自体は目に見えないけれど美しいもの、けれども必ずしも受け入れられないもの。

 本当に様々な要素が扱われていて、そのどれもについて、絶対的な価値観はないのだと描かれているように感じます。
 そして優しさや愛情を、もしそれがエゴに思えたとしても、きっと自分の思うように貫いて大丈夫だということ。そのままのあなたを愛する人がいるということ。
 そうした誠実で説得力のある優しさが描かれているこの物語が本当に大好きで、出会えてよかったなあと心から思います。

 最新刊が9巻ということで、あと5巻も読めるなんてとても幸せです。引き続きこの作品の世界を存分に楽しみたいと思います。

6.補足

スパイラルの表現について

 2巻の感想でスパイラルという言葉を使いましたが、これは大好きな中村航さんの『絶対、最強の恋のうた』(小学館文庫)に出てくるフレーズに影響を受けています。

 ――どっちが先でもいい。例えば大野君が嬉しかったり幸せだと感じたりすれば、それは私にとって何よりの幸せになる。私が幸せを感じるということは、それはまた大野君にとって何よりの幸せになる。そのことはまた、私の幸せの源になる。そのことはまた、大野君の幸せになる。そのことはまた、私の幸せになる――。
(中略)
「思ったんだけどさ、これって最強のスパイラルじゃないかな?」
「そうだよ。きっとそうだよ」
 それは単純だけど、強固で頑丈なスパイラルだった。(pp.184-185)

 中村航さんが一番好きな作家さんなのですが、その中でも好きな作品なので、興味を持たれた方がいたらぜひおすすめしたいです。
 『絶対、最強の~』は含まれていないのですが、最近Kindle Unlimitedに何作品か追加されました。Unlimitedで読める中では、『僕の好きな人が、よく眠れますように』『あのとき始まったことのすべて』も大好きです!

引用文献

辻村七子(2015)『宝石商リチャード氏の謎鑑定』集英社
辻村七子(2016)『宝石商リチャード氏の謎鑑定 エメラルドは踊る』集英社
辻村七子(2016)『宝石商リチャード氏の謎鑑定 天使のアクアマリン』集英社
辻村七子(2017)『宝石商リチャード氏の謎鑑定 導きのラピスラズリ』集英社
中村航(2008)『絶対、最強の恋のうた』小学館

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