不可思議/wonder boyという価値観
俺達の知る限り時間ってやつは止まったり戻ったりはしない、ただ前に進むだけだ。
不可思議/wonder boyというアーティストと、彼の綴ったPelliculeという曲。彼に初めて触れたのは22歳くらいの年明けのタイミングで、仄かに息を灯したことを覚えている。
語りかけるようなフレーズの友人とのエピソードから曲がはじまる。
久しぶり、どうしたんだよ髭なんか生やして
肌の色も真っ黒だしヒッピーみたいじゃんか
僕もいつのまにか大人になり、気がつけば彼の背中を振り返るようになってしまった。時間ってやつは止まったり戻ったりはしないから、前に進んでいる。
随分と遠くまで行ってきたらしいじゃん
なにか掴んだかよ?とりあえずは飲もうぜ
気がつけば大人になった。それなのにどうしてか遠くの景色も眺めることもできず、なにひとつ掴めてなんかいなくて。優しい痛みに胸を撫でられて、その痛みにお前は生きているんだと教えられているような気がして。
それにしてもみんないつの間にかいなくなるよな
だから別にそれがどうってわけでもないんだけど
最後に挨拶くらいしていってほしいっていうか
まあ別にそんなことどうでもいいんだけどさ
なにひとつ進めていないはずなのに、時間だけは進んでいて。ずっとこの場所から動けずにいるのに、あの頃のあの人はどこに行ってしまったのだろう。どこかで生きているといいな、きっとそれだけで幸せなんだ。
そういえば昔さ、いつだったっけ覚えてる?
流星群がくるからって校庭に集まって
寝そべって夜空を眺めてたんだけど
時間だけが流れて星なんか流れないの
あぁ今俺もしかして上手いこと言ったかな〜
寒かったな〜もう二度とやりたくないけど
次の流星群っていつくるんだろうね?
まあ別にそんなこと どうでもいいんだけどさ
そうやって俺達はいつまでも待ってた
来はしないとわかってながらいつまでも待ってた
俺達の知る限り時間ってやつは止まったり
戻ったりはしない ただ前に進むだけだ
だから今日は戻らない日々を思い出して笑おう
今日だけ、今日だけは思い出して笑おう
こういうのってあんまり格好良くはないけど
初めから俺達は格好良くなんてないしな
俺達っていつかさぁ結婚とかすんのかな?
子どもとかできてさ、庭付き一戸建てとかを
ローン組んで買ったら できた気になるかな、
ってこの話前にもきいた気がするわすまんね
とりあえず今んとこは彼女とかもいないし
全くお金もないから可能性は0だね
そういえばお前んとこのあの彼女どうしてんの?
たまに俺に貸してよって これも前に言ったか
なんどだってきいていたくなる、なんども伝えていたくなる。可能性は0だなってふざけんなよ、そんな歌詞残されると生きるしかないじゃないか。
冗談はいいとして同窓会どうする?
行かないよなぁ行ったって話すこともないし
大体どんな顔して行きゃいいって言うんだよ
自慢できることなんてひとつだってないのに
あの頃って何にでもなれる気がしてたよなぁ
いや実際頑張ればなんにでもなれたか
でもこうやって色んなことが
終わってくんだもんなって
いや、始まってすらいないか
そうやって俺達はいつまでも待ってた
来たるべき何かが来ると信じ待ってた
グラスの中の氷はとっくに溶けてなくなって
俺達以外にもう人はいなくなってた
だから今日はありもしない未来について語ろう
今日だけ、今日だけは思い描いて語ろう
こういうのってあんまり格好良くはないけど
大丈夫、俺達のことなんて誰も見ちゃいないよ
待ってた、俺達はいつまでも待ってた
来はしないとわかってながらいつまでも待ってた
俺達の知る限り時間ってやつは止まったり
戻ったりはしない ただ前に進むだけだから
今日は戻らない日々を思い出して笑おう
今日だけ、今日だけは思い出して笑おう
こういうのってあんまり格好良くはないけど
初めから俺たちは格好良くなんてないしなぁ
感想というには拙い文章だけれど、どうしても伝えたくなったので書きました。彼の時間はもう進むことはなくて、それがあまりにも皮肉で。人が素通りする路上ライブ、彼と出会いあの日飲めたことが誇りだと彼の友人は謳っていました。
どうしたって時間は平等に不平等で、止まることも戻ることもできない。ただ進むだけだとしても、どう過ごすのかと問いかける。変わらないと嘆いても、変わろうと足掻いても、正しさなんてものはなくて、いつだってそこには誰かの都合ばかりだ。それが僕らの時間なのだとしたら、できることなら楽しんで笑って生きていたいですね。
どうせいつかは灰になる
誰しも土に還るのだから
不可思議/wonder boy - Pellicule より