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松山英樹”完全制覇”に挑む

 今週PGAツアーはシグネチャーイベント第4戦、アーノルド・パーマーインビテーショナルが開催されます。
 アーノルド・パーマーインビテーショナルはPGAツアーの中でも出場選手枠が、いつもより限られている招待試合です、
 現在招待試合は3試合あります。


1.PGAツアーの招待試合

a.ジェネシスインビテーショナル

 元々はロサンゼルスオープンとして1926年に開催。当時はロサンゼルスカントリークラブで開催されていた。
 日産自動車がスポンサーになった時もある(1987〜2007年)。
 その後2008年からは金融サービス会社、ノーザントラストがスポンサーを務め、2017年から韓国の現代自動車がスポンサーになり、高級セダンのブランド名・ジェネシスをトーナメントの名称に付けた。
 2020年、タイガー・ウッズの財団(タイガー・ウッズ・ファウンデーション)が運営することとなり、それに合わせてタイガー・ウッズが招待する試合として格式が上がり、現在に至る。
〇主な優勝者
 サム・スニード(2回)
 ベン・ホーガン(3回)
 バイロン・ネルソン
 アーノルド・パーマー(3回)
 トム・ワトソン(2回)
 トム・カイト
 フレッド・カプルス(2回)
 コリー・ペイビン(2回)
 ニック・ファルド
 アーニー・エルス
 マイク・ウィア(2回)
 バハ・ワトソン(3回)
 フィル・ミケルソン(2回)
 アダム・スコット(2回、内1回短縮優勝)
 ダスティン・ジョンソン
 ホアキン・ニーマン
 ジョン・ラーム

b.アーノルド・パーマーインビテーショナル

 1966年、フロリダ・シトラスオープン・インビテーショナルとして開催。その後ネスレなどがタイトルスポンサーを務めた。
 2004年からマスターカードがタイトルスポンサーになり、2007年からはアーノルド・パーマーの冠が付いた。
 1971年、アーノルド・パーマーが優勝している。
〇主な優勝者
 ペイン・スチュワート
 フレッド・カプルス
 トム・カイト(2回)
 フィル・ミケルソン
 アーニー・エルス(2回)
 ビジェイ・シン
 ジェイソン・デイ
 ローリー・マキロイ
 ブライソン・デシャンポー
 スコッティー・シェフラー
 タイガー・ウッズ(8回)

c.メモリアル・トーナメント

 1976年、ジャック・ニクラウスの地元であるオハイオ州のダブリンに、自身がコース設計を担当したミュアフィールドビレッジゴルフクラブで開催される招待試合。もちろんトーナメントホストはニクラウス。
 1977年と1984年の2回、ニクラウスが優勝している。
〇主な優勝者
 トム・ワトソン(2回)
 ヘール・アーウィン(2回)
 カーティス・ストレンジ
 グレッグ・ノーマン(2回)
 フレッド・カプルス
 ビジェイ・シン
 アーニー・エルス
 ジム・フューリック
 チェ・キョンジュ
 ケニー・ペリー(3回)
 ジャスティン・ローズ
 スティーブ・ストリッカー
 ブライソン・デシャンポー
 パトリック・キャントレー(2回)
 ジョン・ラーム
 ビクトル・ホブランド
 タイガー・ウッズ(5回) 

 以上3試合には独自の招待基準があり(優秀なアマチュア選手を出場させるなど)、優勝者には翌年から3年間のツアーカードが与えられます。

2.全部勝っているのはカプルス、エルスだけ

 こうして見ると、3大会すべてに勝っているのはカプルスとエルスだけしかいません。
 パーマーインビテーショナルに8回、メモリアルに5回、招待試合2大会で13勝の荒稼ぎをしているタイガーでさえも、ジェネシスインビテーショナルではまだ未勝利です。
 と言いますか、タイガーはリビエラではまだプロになってから勝ったことがありません。ニクラウスも同様です。
 ただカプルス、エルス共に優勝したときは”ニッサン(ロサンゼルス)オープン”なので、タイガーの招待試合だったという訳ではありません。

3.松山はあと1つで”完全制覇”

 さて、ここで松山の話に移ります。
 2014年PGAツアーにデビューし、ルーキーイヤーでいきなりメモリアル・トーナメントで初優勝を挙げました。
 それから10年後の今年、先月のジェネシスインビテーショナルでは最終日3連続バーディーを3回決めて6打差を大逆転。一昨年のソニーオープン以来、アジア人として最多のPGAツアー9勝目を達成しました。
 ニクラウスとは表彰式で握手を交わしましたが、インフルエンザにかかったタイガーとは握手できませんでした。
 残るは今週開催のアーノルド・パーマーインビテーショナル。ここで勝てばパーマー、ニクラウス、そしてウッズがホストの招待試合3つすべて優勝した選手として記録に残ります。
 会場のベイヒルクラブのあるフロリダ州オーランドは現在、松山が拠点にしている場所。自宅から車で通える唯一の試合です。
 2週間のオフを取り、実戦感覚が戻るかどうかがカギになりますが、節目のツアー10勝目に向け、そしてプレーヤーズ選手権やメジャーに標準を合わせて行く大切な試合です。
 このところの好調で「自身が戻った」と口にする松山、期待が持てます。

(補足 その1)
 以前タイガー・ウッズ・ファウンデーションは、2007年からAT&Tナショナルという試合を運営し、タイガーのホスト試合として開催されていました。
 その試合でタイガーは2度優勝し、一応3人のホスト大会は制覇はしていますが、自身のホスト大会が含まれ完全制覇からは少し離れていると考え、今回は「3人のホスト大会を、別の選手が優勝した」という概念としてこの記事を投稿しています。 

(補足 その2:2024年3月8日 追記)
 マスターズも「オーガスタナショナルインビテーショントーナメント」という経緯があり、球聖ボビー・ジョーンズがホストの一角であることから、これも招待試合として考えれば、4大会すべて松山が制すとなると大偉業に箔が付く格好になります。

(補足 その3:2024年3月9日 追記)
 ジェネシスインビテーショナル(ニッサンロサンゼルスオープン)とアーノルド・パーマーインビテーショナルを同年に優勝したのは、1992年にカプルスが達成した1回だけです。
 ちなみにこの年、カプルスはマスターズにも優勝しています。

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