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2023年7月の記事一覧
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「ふたりのマエストロ」
映画『ふたりのマエストロ』公式サイト https://gaga.ne.jp/MAESTROS/ コメディーかと思ってたら、これぞエスプリか。 父と息子、供に著名で指揮者、マエストロと呼ばれる親子 そこにマエストロの殿堂であるミラノスカラ座就任の依頼電話が父親に。 これが本来息子への依頼だった間違い電話。 しかし、それを知らない父親は40年以上にわたり恋焦がれていた招聘に浮足立ってしまう・・・ この作品概要を読んで見始めたのだが てっきりコメディーだと思っていたら、さにあらん。 指揮台という同じステージで、それぞれに活躍する二人 とはいえ、父親と息子、男同士のどこにでもありそうなミスコミュニケーション そうした長年の何気ない状況が、いつの間にか二人の間に見えない壁を作っていた、 これもよくありそうな設定、 だがこの作品はそのよくありそうな設定、二人を、ありえない展開で融解させる 見事な結末が。これこそエスプリの骨頂といえるんじゃないかな。 主演と助演: 特に父親役助演フランソワ・デュマール役ピエール・アルディティの 演技には見る側に思わず納得の微笑みを浮かべさせてしまう。 また 主演のドニ・デュマール役のイヴァン・アタルに関しては 演技はもちろんだが、ピアノ演奏の力量、実力が画面をしめていることも記しておきたい、 こういうことって、演奏シーンのある映画では大事な点だと常々思う僕でして。 実際、本作内でも別の役者が?と思わせることも。。。 同じような事を思いながら 二人のタクトの振り方、コンダクティングとでもいうのか (うーむ、少し無理があるというか、固いよなぁ、でも役者さんにそこまで求めるのは・・・) と思ったことも度々だったが ラストのシーンでは、こんな不満(不安)など吹き飛ばしてします これぞ「名演による指揮」を見せてくれた二人の「ブラボーー!」 配給会社のGAGAだが この種の作品、長年にわたり本当に逃すことなく 配給し続けている。 直近で試写した 「テノール!人生はハーモニー」の検索結果 - 映画.com https://eiga.com/movie/99272/ これに加え、記憶に残る範囲でさえ コーダ あいのうた : 作品情報 - 映画.com https://eiga.com/movie/96041/ 異動辞令は音楽隊! : 作品情報 - 映画.com https://eiga.com/movie/95297/ セッション : 作品情報 - 映画.com https://eiga.com/movie/80985/ 脱帽です。 2023年8月18日 公開
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「ルードボーイ」
https://www.imageforum.co.jp/rudeboy/# 知らなかった、レゲエ音楽はジャマイカ? 本作はレゲエ音楽誕生に大きな影響を与えた イギリスのレーベル「トロージャン・レコーズ」の 興亡を描いた 一部再現映像のようなシーンも含んでの ドキュメンタリー。 僕はもともとレゲエに関しては ごくごく一般レベルで エリック・クラプトンの「I shot the sheriff」 や ボブ・マーリーの曲を数曲ぐらいしか知らない。 だからなのか この映画を見るまで レゲエはジャマイカの音楽と思っていたが ある意味違い イギリスで開花した音楽であった ということを知ったことは大きなポイントだった。 が、 これを機にレゲエを調べてみると そうともいえない気配も、、、 ともかく レゲエという音楽は そのルーツ、発展、展開 どれをとってもいろいろ複雑なようで・・・ この映画はその一つの流れ(大きな流れ)である イギリスのレゲエレーベル「トロージャン・レコーズ」を軸に その周辺を描いていることだ。 このポイントで作品内で語られていることを簡単に記すと ・ジャマイカは元イギリス領 ・独立を境に多くのジャマイカ人がイギリスに移民する ・彼らの間でアンダーグラウンド的に演奏、歌い、踊られていた音楽 ・それにインドにルーツのある独立プロデューサーが目をつける ・いわゆるインディーズとしてスタートし、それがイギリスの労働者階級の若者のムーブメントと交差する ・イギリスのそのレーベルはヒットを増産し、ソフト路線にも広げヒットを増産するが、・・・倒産する。 ・その後、レゲエは本国ジャマイカにおいてボブ・マーリーの活躍やエリック・クラプトンのカバーなどで世界的に知られる ということのようだ。 当時の映像や アーティストたちの現在の姿やインタビューを交えた 貴重な作品と言える。 ただ ここまでその音楽ルーツを追求した 音楽レーベルのBMG製作作品であるからこそ 歌唱再現のシーンで 魂の踊るようなライブ感を欲しかったが、 そこまでを打ち出すのは難しかったのかな。。。 ともかく 音楽に広く興味を持つ人々には こうした流れを知ることができるという点だけでも 一見の価値がある作品。 2023年7月29日 公開
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「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」
https://royalgame-movie.jp/ 本年度 極楽映画大賞ノミネート作品か、。 ナチス、ユダヤ、また? との感は否めなかったが いやいや本作は よくぞその視点でその展開で、参りました。 ナチス進行前夜のオーストリーのウィーンから始まる。 僕は知識として当時のオーストリーは一瞬にしてドイツ領になったことは知っていたが ・・・サウンド・オブ・ミュージックのフリークですから・・・・ 当時のあの地のユダヤ人、いわゆる金持ち層が多く 不満を募らせていたドイツ系住民や親ドイツのオーストリー人(この表現最近よく聞くなぁ)には 彼ら(ユダヤ系オーストリー人)は目の敵になっていた。 そして 本作主人公は公証人として裕福層の銀行口座を管理していた。(たぶんユダヤ系が多かったと推測する) 進行したナチスは彼からその情報を聞き出し、膨大な財産のはく奪を試みる。 (たぶん彼の立場からして)あからさまな拷問はできないので ホテル監禁・コミュニケーション、読書等一切ないという心理的な拷問でその情報を聞き出そうとする。 その心理的拷問から彼を救ったのが1冊のチェスのルールブック。 彼は密かにそれだけを読み、いつの間にか完全にチェスのルールを・・・ そして、戦後、移民として船でニューヨークへ、その船上で偶然繰り広げられる世界チェス王者との・・・・ ともかく おもわず筋を書きたくなっちゃうんですよ。 監督はフィリップ・シュテルツェル。 知らないと思っていたら 『アイガー北壁』(08)、『ゲーテの恋~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~』(10)、『陰謀のスプレマシー』(12) と 名作を多数送り出していた(ドイツ名だから覚えていなかっただけだった) 1967年生まれ。 原作はシュテファン・ツヴァイク 1881年11月28日―1942年2月22日。オーストリア・ウィーン出身。 本作は世界的ベストセラーとの事。 主役はオリヴァー・マスッチ 1968年12月6日生まれ、ドイツ・シュトゥットガルト出身 ドイツ映画賞主演男優賞にノミネートされるなど、 独映画界で知らぬ者はいない存在。 が僕はこれまた全く知らなかったが ともかく 本作での演技は アカデミー主演男優賞クラスだと確信いたします! おすすめ! 2023年7月21日 公開