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2023年6月の記事一覧
「ランガスタラム」
https://spaceboxjapan.jp/rangasthalam/ 昭和の時代デパートの最上階に食堂があったじゃないですか。 何でもある、楽しさてんこ盛り お子様ランチには国旗がはためいていて。。。 まさに そんな感じの映画です。 政治家の汚職、 農村の貧富、カーストの身分差別、障碍者差別 殺人、暴力、恋愛、そして何よりもダンスダンスダンス・・・・なんでも てんこ盛り。 ストーリー、、んなもん、どうこう言わないで これがザッツ・エンタテインメント! ・・・しかし長い作品だ、で、大げさではなく四分の一がダンスダンスダンス。 が、その出来は素晴らしいの一言! 昨今、男性が一列に並んで、それらしいダンスと歌を披露しているグループ、それに興奮している諸君! この作品のダンスをご覧あれ!ともかくその完成度のすごさにたまげるであろう、、、、でも、 何でここにダンスがあるのかは考えることはよしなさい!これがインド映画。 主演のラーム・チャランは インドのテルグ語映画で活動する俳優、映画プロデューサー。 テルグ俳優チランジーヴィの息子としてマドラス(現在のチェンナイ)に生まれる。 ラームはアッル・ラーマリンガイヤの孫であり、 コニデラ・ナゲンドラ・バーブ、パワン・カリヤーン、アッル・アラヴィンドの甥に当たる。 ・・・・と書いても何が何だかわからないですよね。 要は テルグ語映画『マガディーラ 勇者転生』『RRR』の主演で人気沸騰で最も出演料が高額な俳優の1人。 で、 テルグ語映画とは テランガーナ州に拠点を置く映画産業を指し通称「トリウッド」。 と書いてもこれまたわかりませんよね。 要は ボリウッドに次いで2番目の規模を誇るインドの映画産業。 現地公開は2018年だから5年前の作品、コロナ前だから作られたと、そして今。 2023年7月14日 公開
「キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩」
映画『キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩』オフィシャルサイト 2023年7/7公開 https://carolofthebells.ayapro.ne.jp/ 国境とは、民族とは 国家とは 本作のベースにある設定は本当に複雑。 特に島国の私たちには、このような作品を見ないとわからないままだったことだらけ。 この作品は現在のウクライナ戦争勃発前の2020年制作ということに尚更驚きが。 内容に触れてしまうが この設定の概要だけでも書かせてもらう。 ・舞台は第二次世界大戦前後の 現ウクライナで当時ポーランド領のイバノフランコフスク ・そこの複合住宅、この住宅の半分の持ち主はユダヤ人で娘二人と親子4人家族 ・半分は(多分ユダヤ人)でニューヨークに移民として移住 ここを借りる家族 ・ポーランド人(夫が軍人)で娘と3人家族 ・ウクライナ人で娘と3人家族、父親がギター演奏、母親がピアノ教師、娘は声楽に長けている ・この地を当初はソビエトが進軍してポーランド人の軍人である夫が連行され娘はウクライナ人家族に預けられる ・次にナチスが進行しユダヤ人家族の両親が連行され、娘二人はウクライナ人家族に預けられる ・ナチスの家族、息子と3人が元ポーランド人の部屋に越してくる ・さらにナチスが敗北しドイツ人の子供がウクライナ人家族に預けられる、が・・・・ ・再びソビエトの占領下に、ウクライナ家族は追われる ・そして 最終的にこの3人の娘たちは 1970年代のニューヨークで再開する という列挙するだけで 回転渦のような設定だが よく考えて見ると この地に限らず、世界各地で国境と民族と政治に翻弄されている これ以上の現実があることに目覚めさせられる。 タイトルでもあるミサ曲 キャロル・オブ・ザ・ベルは 映画ホーム・アローン(90)で歌われよく知られているが ウィキペディアで調べると 実は 「ウクライナの民謡を元に、 マイコラ・レオントーヴィッチュが1914年に編曲したシュチェドルィック(英語版、ウクライナ語版)に、 1936年にウクライナ人作曲家ピーター・J・ウィルウフスキーが英語の歌詞を付けたもの」 とあった。 ラストシーン近くで シベリアに抑留されたウクライナ家族の母でピアノ教師である彼女が 粗末なベッドの下にそっと隠し書いたピアノの鍵盤を指で押さえるシーンは 見る側に悲劇と苦痛を、 そして「音楽は勇気を与えてくれる」ものだ と心から感じさせてもらった。 監督の オレシャ・モルグネツ=イサイェンコ は1984年ウクライナに生まれでテレビドキュメンタリーを中心に活動し 本作が長編劇映画監督作品2作目とのこと。 2023年7月7日 公開
「世界が引き裂かれる時」
https://www.unpfilm.com/sekaiga/#modal つくづく思う、 戦争は映画を作る、しかし、映画は戦争を作らない。 2014年のウクライナ上空でマレーシアの旅客機が撃墜された事件を背景にした映画だが 制作時期は今のウクライナ戦争直前という何ともいえないタイミングだ。 マレーシア航空機墜落事件の現場となった村が舞台、 映画を見る前にこの事件を振り返ってみる必要がある。 2014年、 オランダのアムステルダムからクアラルンプールへと向かっていたマレーシアの旅客機が ウクライナ上空で撃墜され乗客乗員298人が死亡した事件。 オランダの裁判所で審理が行われ 旅客機を撃墜したのはロシアから持ち込まれ、ウクライナの親ロシア派が支配する地域から発射されたミサイルだったと断定し ロシアの治安機関の元大佐などロシア人3人とウクライナ人1人の合わせて4人が殺人などの罪に問われ 2022年11月に終身刑が言い渡された。 これに対してロシア外務省 “客観性や公平性ない”と判決は政治的で認めていない。 事件の時期すでにクリミア半島はロシアに併合され ウクライナ東部では反ロシア派と親ロシア派の対立は激化していた。 その東部(今や有名な地名となった)ドネツク地方が舞台。 ラストシーンで親ロシア派の主人公に反ロシア派の義弟が言う 「お前は親ロシア派ではなく奴隷だ!」。 ともかく ロシアのウクライナ侵攻が始まる直前の2022年1月、 第38回サンダンス映画祭ワールドシネマ部門で監督賞を受賞、 続く第72回ベルリン国際映画祭でパノラマ部門エキュメニカル賞を受賞、 さらに第95回アカデミー賞®最優秀国際長編映画賞ウクライナ代表にも選出される など世界各国で41冠の栄誉に輝いた作品。 2023年6月17日 公開
「テノール!人生はハーモニー」
映画『テノール!人生はハーモニー』公式サイト https://gaga.ne.jp/TENOR/ 寿司とオペラとラップ のコラボレーションがこの映画を感動に導く ・・・なんて。 主人公はラップが趣味のフリーター、バイトは寿司の出前 兄は弟の学費をストリートファイトで稼ぐという貧しい層の環境 パリのオペラ座ガルニエ宮に寿司を配達し ふとしたことからオペラのまねごとをしたことで 一流のオペラ教師に見出されて・・・ という、まぁよくありがちなシンデレラストーリーではあるので 筋自体に目新しさはない、と思いつつ が、やっぱ、引き込まれちゃうんですよね、この手の物語には。 もちろんしっかりとした作りがあってこそのなんだけれど。 主演は実際にビートボクサーのMB14 教師役はミシェル・ラロック そして 監督のクロード・ジディ・Jr 僕には全員初顔だった。 だからというわけではないが どーかなーーと疑心をもって見始めたが 最初に書いたように 引き込まれてしまったし、最後は思いのほか感動の涙目になってしまった。 寿司出前、ラップ、下層社会 対して オペラ、上流社会 違う世界が紡ぎだす感動かな。 コンサバな音楽趣向人の中には ラップは音楽とは認めない人も 逆に ライトな音楽好きには オペラの大げさな歌い方に違和感を抱く人たちも それぞれ多いと思う。 そこには深い溝があるかもしれないが なんかそういうのを払拭してくれるきっかけにもなる作品じゃないかなと思った。 2023年6月9日 公開