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極楽試写会

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新作映画の試写会の案内もオンラインでの試写が増え、 気軽に自分なりに選んだ作品の試写をしております、 極楽気分で。 そんな中、皆さんにも見てほしいなと思った作品を紹介したいなと
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2022年10月の記事一覧

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「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」

映画『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』公式サイト (louis-wain.jp) https://louis-wain.jp/ 19世紀末から20世紀に猫のイラストで爆発的な人気を博した実在のルイス・ウェインの物語。 夏目漱石の「吾輩は猫である」に登場する絵葉書の作者だともいわれている、とのこと。 確かに漱石が留学していた時期と重なる。 当時の身分社会、自身の精神的問題など 問題が取り巻く中で猫のイラストを描く人物の人生ドラマ。 この作品に限らず、ビクトリア朝時代を描くイギリス映画やTVドラマには 英国のプライドが満ちていてその描写のこだわりが素晴らしい。惹かれる。 ルイス・ウェインを演じる ベネディクト・カンバーバッチは それこそ、ビクトリア朝を舞台としたTVドラマの「シャーロック」でホームズを演じて2014年にエミー賞を得ているし 本作はズバリのキャスティングじゃないかな。 また実在の天才数学者を描き2014年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた 「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才学者の秘密」で演技力はお墨付きだ。 イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com) https://eiga.com/movie/80082/ 監督のウィル・シャープは 8歳まで日本で育った若き日系イギリス人ということで、ひいき目じゃないけれど、期待。 カズオ・イシグロを思い出した。。。 そして、そして 僕が最も惹かれたのが なんと!エンドロールです。 ウェインが実際に描いた猫のイラストが エンドロールに合わせて、登場、登場 かわいいのなんのって、猫好きではない(大の犬好き)僕でも見入ってしまった。 2022年12月1日 公開

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「ビー・ジーズ 栄光の軌跡」

https://eiga.com/movie/97741/ レコード会社が作った素晴らしい音楽映画。 見始めてすぐに 「これはレコード会社が作った映画だ!」 と確信した。 早速、エンドにクレジットで確認したら やはり Polygram Entertainment(日本ではユニバーサルミュージックJapan) となっていたからこの直感は間違いなかった。 もし映画会社が作ったらこのような内容にはならないし、このような音楽映画は作ることは難しい、 逆にレコード会社では映画会社が作るような音楽映画は作ることは難しい、 と あえて断言させてもらう。 回りくどい言い方を更に回りくどく書くと この作品は ビージーズがどのように「音作り」をしたかを軸にそれが彼らの活動をどのようにしたか、という視点で映像化している。 仮に映画会社が作ったら彼らの「バックボーンや活動の経緯」などを筋立ての軸に、彼ら、このバンドがどのように形成されてきたかを映像化するだろう。 どのように「その音」が作られて、そこからどのようにこの「グループが誕生、成長、成功」していったか、そのピースを丹念に組み立てて作られた それらによってこの素晴らしい映画が完成した言える。 具体的に、 例えば、 デビューから近い時期には3兄弟が作るハーモニーがどのように作られたのか、 第二の全盛期のサタデー・ナイト・フィーバー時期にはファルセットを大胆に駆使したヴォーカルが あのヴォーカルがどのように生まれたのか あの声がこの3兄弟の活動をどう決定してきたのか。 例えば、 どのようにあの音が「技術的に」生まれたのか、どうしてあのスタジオを使ったのか、 例えば どのようにあの曲が「当時の音楽業界で」生まれたのか、 そして これらがビージーズの活動をどう決定させてきたのか そしてそして コメンテーターとして出演しているのはエリック・クラプトンをはじめ皆ミュージシャンで その他を語る人選は一切なく ミュージシャンの目から彼らを語っている。。。。 これなんですよ、僕が見たいのは! まことにもって これが真の音楽映画の一つと言える、断言します。 2022年11月25日 公開

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「ペルシャン・レッスン 戦場の教室」

https://movie.kinocinema.jp/works/persianlessons/ 「『戦場のピアニスト』『シンドラーのリスト』に続く、ホロコーストを題材とする戦争映画の新たな衝撃作・・・」 とある。正にそうです。 ナチスの強制収容所に連れてこられたユダヤ人の青年が 自分はユダヤではなくペルシャ人だと偽ることにより死を免れ 続き、偶然ペルシャ語を学びたいドイツ親衛隊将校に ペルシャ語教師として引き立てられる。 当然青年はペルシャ語は全く話せなく 独自にまったく架空のペルシャ語を作り出し将校へのレッスンを続ける、 レッスンが続く限り命は保証される、、、と ストーリーをそのままつづるだけで、十分。 しかも事実をもとにした物語となるとさらに驚く。 監督のヴァディム・パールマンは ウクライナ(ウクライナ・ソビエト社会主義共和国)で1963年に生まれて 幼少期に難民としてヨーロッパへ渡ったという履歴の持ち主で なんとも「今」語るには濃い人物。 監督デビュー作の 「砂と霧の家」 https://eiga.com/movie/52379/ では ジェニファー・コネリーとベン・キングズレーを主演に迎え アカデミー賞の主要3部門にノミネートされたという 履歴も記しておきたい。 2022年11月11日 公開

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「パラレル・マザーズ」

映画『パラレル・マザーズ』公式サイト (pm-movie.jp) https://pm-movie.jp/ 一見 産院での出産児の取り違え事件というシンプルなドラマだと思ってみていたら、 いやいや、単一ではない 色々とテーマが絡み合い、一筋縄ではいかない作品になっている。 スペイン映画、ということ、スペインの大地には今も かつてのフランコ政権下、ファランフェ党が行った残虐行為の禍が 脈々とつながっている、繋ぎ留められている、という現実を わからせてくれる作品でもある。 産院での取り違い事件、 ここには誰が本当の親なのか、という最重要な題材があり 事案は違うが フランコ政権下で虐殺されて破棄された遺骨が、そのどれが自身のルーツと繋がっているのか 筋立てや展開が少々雑な点は見受けられるが この時代も時間も違う2つのテーマの近似的部分をどう伝えていくのか、に臨んでいる 「生命」をテーマにした作品だと思う。 個人的には音楽のフラメンコが好きで 知人の小説家でフラメンコの専門家でもある逢坂剛さんと話す機会が多い。 そんな際に 逢坂氏は度々かつてのフランコ政権、ファランフェ党の蛮行の話題に触れる。 それはスペインの古い事柄ではあるが、氏にとって作家としての特化したテーマだからと思っていた。 が、この映画を見て気づかせてもらった、 スペイン人にとっては「そうじゃないんだ、今の問題でもあるのだ」と。 主演のペネロペ・クルス どちらかというと個人的には凄いスペイン美女の印象が強かったが・・・ ウディ・アレンの「それでも恋するバルセロナ」で、アカデミー賞の助演女優賞を受賞しているし 本作が第94回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされているというのもうなずける。 資料で知ったのですが 彼女の夫がハビエル・バルデムだということを。 https://eiga.com/person/56462/ 僕、彼好きです。幅広い演技派ですね! でも、濃い夫婦ですな。 2022年11月3日 公開