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あいさつ
授業の始まりにみんなで挨拶をします。昔のように「起立・礼」という感じではなく、椅子に座ったまま、授業の始まりの挨拶を私と交わします。ただ、残念ながら、一回で気持ちよく挨拶をすることがほとんどありません。子ども達にしてみれば、一日何回も何回も授業の始まりと終わりに形式のように挨拶をしないといけない感じがするのでしょう。なんとなく一人の友達の号令に合わせて、みんなに紛れて頭をちょこんと下げたらいいかあという子がずいぶんいます。
私は授業の始まりがだらだらした心のこもらない感じでスタートするのが悲しいので、必ず声をかけます。
「まず、姿勢を真っ直ぐにしてごらん。」
「ピシッと起こそうとしても無理矢理になるから、一度肩甲骨を後ろへ腕も一緒にぐるりと回してごらん。背筋がピンとしてくるから。」
「今、身長がぐんぐんと伸びる時期だから、背骨が真っ直ぐに整っているところへ、バランスよく骨も肉も付いて育っていくよ。」
「そして、挨拶は一瞬のことだけれど、その日のファーストコンタクト、人とのコミュニケーションの大切なところ。世界中で、まず大切にされているのはどこの国に行ってもまずは挨拶とありがとうだからね。」
「そして、挨拶は、相手と目を合わせること。それで気持ちが伝わるからね。」
こんなことを毎回話してから、2回目の挨拶をお願いしています。子ども達はほとんどが理解してくれて、背筋のピンと通った姿勢になって、身を整え、目線を私に合わせてくれて気持ちの良い挨拶をしてくれます。
ただ、1週間に1回の私の授業なので、また次の時には忘れている子がほとんどですが、気長に何回も伝え続けます。それが私の仕事なのですから。そして、何回目かには、かなり身が整い、気持ちの良い挨拶のスタートを切れる日があります。
ほんのちょっとしたことなのですが、ほんの一瞬を毎回大切にすることの積み重ねで何かが変わってくる気がしています。無理矢理、
「姿勢を正して!」
と怒られるように言われるよりも、最初はイヤイヤだとしても、どうしてこれをすることが大切なのか、ちゃんと話してあげて、どう自分にメリットがあるか理解できれば、高学年なのですから十分行動が変わってくる可能性があるのだと信じています。行動の全てを良き方向へ導いてあげたい願いはありますが、定着するまでの仕事はやっぱり担任の先生だったりします。そして、毎日家庭の中で愛情で育まれた言葉を親からもらえることだと思います。
言われて嫌なことは誰だってあります。大抵、直した方が良いことは耳に痛いものです。それでも、将来の事を考えた時に、今伝えてあげられることを真摯に伝える役目が子どもに関わる大人として大切だと感じています。
その前に、私たち大人の方がまずは模範になれるような姿勢が大事ですね。私も日々、自分を振り返り、少しは子ども達の前に立って恥ずかしくない人であるだろうかと自問自答しながら過ごしています。気持ちの良い挨拶を日々私自身が心がけることで、子ども達にも何かが伝わっていくような気がしています。
《れい》
見つめ合い
気持ちを込めて
始めたい
人と人とが
触れ合う時に