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地元を再発見する"メガネ"として手書き地図のススメ

先週、「プライド・パレードに見る「理想を体験してもらう」社会運動のデザイン」というエントリーを書いたところ、note編集部のオススメ記事にも掲載していただき、意外とこういった「仕組みのデザイン/体験のデザイン」に関しての記事もニーズがあるのかもなぁ、と感じました。

ちょうど、8月1日に我らが手書き地図推進委員会の本「地元を再発見する 手書き地図のつくり方」が発売されました。どうしてこんな手書き地図というアナログで誰でもできるものを推進する活動をしているのかという話をnoteに書いておこうと思います。これも、「手書き地図を作る」という行為を通して、地域の見え方が変わる体験だから。僕らが手書き地図を推進している理由を列挙していきます。

1.手書き地図作者の「偏り」がその地域を愉しむ「メガネ」になる

地方の面白い手書き地図とであったことが、きっかけでした。山形県天童市の友人が作っていた「天童木工のある街」という手書き地図や、この本でも紹介している埼玉県ときがわ町の手書き地図です。テーマがあり、作者の好きなものを中心に、想いをこめて紹介している手書き地図には、いわゆる観光マップにはない「偏り」がありました。自分の好きなエリアを、こう楽しんで欲しい、僕にはこう見えるという視点をもらえるものでした。

観光マップの誰にでも受けるハズれないここはおさえておこう、という立ち位置ではなく、自分がいいと思うものを自分の言葉で紹介する。その属人性と、その人のメガネをかけて街歩きをする体験は、とても豊かなものです。天童の手書き地図には、ものづくりの気質を大切にしたスポットがピックアップされ、ときがわの地図には、「車のエンジンを切って、せせらぎの音を聞いてください」など、自然の豊かさをどう味わってほしいかという行動を促す言葉が書いてありました。

まるで、そのエリアに住んでいる友人に街を案内してもらっているような体験ができるのが「偏りのある手書き地図」の醍醐味なのです。それから手書き地図推進委員会となり、質の高い手書き地図を発掘したり、ワークショップを行い作成する活動をはじめました。

あ、もう一つありました。「手書き地図はパスポート」と呼んでいる効能もあります。手書き地図を持って歩いていると、お店の人などと「○○さんの友達?」と声をかけてもらったり、コミュニケーションが生まれることも手書き地図の力です。

2.地域の隠れた魅力を発見できる!

地域の人に集まってもらい、ワークショップを行うとどんな街でも隠れた魅力を発見することができます。なぜならヨソモノである我々手書き地図推進委員会と一緒に街歩きすることで、外の人の目を通して「あなたの日常は、誰かの非日常」ということ発見をしてもらうからです。この辺の具体的な発見ネタがたくさん書籍には掲載しています。

3.老若男女誰でも参加できる。むしろお年寄りがヒーローに。

2で、外の目を強調して書きましたが、その前提としてその地域のことをよく知っている方がいるからこそ、歴史や風習、変化、地域の背景や物語が見えてくるということもあります。手書き地図は大変アナログなツールで、模造紙とマジックがあれば、みんなでアウトプットできます。デジタル・デバイドも心配ありません。

むしろ地域のことを長く知っている年長者がヒーローになります。お店の人や年長者が参加者から質問攻めにあうのです。この情景は、そこにある豊かな資源が眠っていることの象徴です。

4.ワークショップ参加者や取り上げたお店などが「共謀者」になれる

手書き地図のワークショップを通じて知り合った地域の人たちは、一緒に街歩きをし、飲み食いしながら、一つの地図を作っていきます。その工程で地域を面白がる仲間になっていきます。また取り上げたお店の方々も、完成した地図を持っていくと喜んでくれ、地図を持って来てくれたお客さんにも、観光客というよりは「誰かの知り合い」のように声がけをしてくれることが多いです。

この本の中でも紹介していますが、手書き地図のワークショップを期に生まれた、地域名産復活の物語(うまのくそまんじゅう)の話なども掲載しています。これも、手書き地図を通して一つの物語を共有したことで、過去にあった名産を復活させることが盛り上がり、参加者たちで復活させたお話です。地域をおもしろくするときに、同じ想いを持った仲間がいる状態はありがたいですよね。

5.終わりに この活動が7年も続いている理由

手書き地図推進委員会はすでに7年目となります。7年間のノウハウをまとめて今回書籍にしたわけですが、ながく続いている明確な理由があります。それは、どの地域に行っても、魅力的な人がいて、隠れた資源を発見することや、地図が完成して喜んでもらえる姿を見ることができるからです。また、この楽しさがあるからこそ、参加したい、手伝いたいという手書き地図推進委員会のメンバーが存在してくれているのだと思います。

最初に「仕組みのデザイン/体験のデザイン」と書きましたが、まさに手書き地図を続ける側であるわれわれにもこの仕組のデザインが効いているのでしょう。

上に書いたような「地域の隠れた魅力を発見する仕組み」であり「参加者を仲間にする仕組み」「活動が永続する仕組み」が組み込んである「仕組みのデザイン/体験のデザイン」だと思っています。

ということでもし興味がありましたら、この本お手にとってもらえれば嬉しいです。


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