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統制の所在を変化させる環境要因

「理由がわからない」という状況は,なんだか気持ちが悪くて不安になりますよね。私たちは,何かの原因がわからないままに放っておくことが苦手で,とにかくとりあえず,なにかに原因を求めがちな傾向があります。

でも,その理由は本当の・真の理由じゃなくても良いのです。「自分が信じたい理由に近いもの」が示されれば十分で,それで満足する傾向があります。立場が違う人どうしが言い争っている時などには,その傾向は顕著になります。

「ほら,これが根拠だ」と言いたくなる気持ちも,まあ,わからなくはありません。正しいとは限らないのですけれども。そういう時の判断力のほうが,危ういものだと考えておいた方が良いもかもしれません。


統制の所在

私たちが求める「原因」には,いくつかのパターンがあって,そこにはいくつかの要素が絡み合っています。その中でも,ずいぶん昔から研究されてきた要素の一つが,統制の所在(Locus of Control)と呼ばれる概念です。

自分自身で行動や結果のコントロールができると考える傾向を内的統制の所在,結果は環境の影響が大きいのであまり自分でコントロールできないと考える傾向を外的統制の所在と言います。自分の能力や努力によって結果が生じたと考えることを内的統制の所在,運や巡り合わせで生じたと考える傾向を外的統制の所在だと言い換えることも出来ます。

統制の所在は出来事に影響されるのか

こういった,一種の結果に対する信念のようなものは,日常的な出来事の経験によって影響を受けるのでしょうか。6年間の縦断的な調査で検討した研究があります。この論文です(Events associated with stability and change in adult locus of control orientation over a six-year period)。

分析の対象

分析は,イギリスのロンドンで長期縦断的な調査に参加した人々のデータに対して行われています。参加した人々は約1万4千人の妊娠した女性で,6年間間隔の縦断的な調査が行われています。なお分析したデータは,母親だけではなく父親のデータも含まれていたようです。統制の所在は妊娠中と6年後,出来事は出産後8ヶ月の時点で測定されているようです。

調査プロジェクトのページがあります。申請すると,研究のためにデータを使わせてくれそうですね。

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