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交通事故の背景要因

割引あり

私が普通自動車の免許を取った平成の初めころは,「1年間に1万人以上が交通事故で亡くなっている」とよく言われたものです。それから30年以上が経ち,2022年(令和4年)の交通事故死者数は2,610人と,統計をとりはじめてから最少の人数となっています。


交通事故

いちど交通事故を起こしてしまうと,事故の被害者になった側も加害者になった側も,精神的な負担は非常に大きいものです。

研究の中でも,交通事故の負担は大きく,身体的・精神的な健康に深刻な影響を与えることが示されています。また,多くの国々にとっては,交通事故に伴う経済的な負担も大きなものです。世界中で,交通事故を減らすことや事故死者数を減らしていくことは,社会的な課題だとみられています。

原因

交通事故の主な原因として,ドライバーのミスが強調されています。しかし,交通事故を起こす運転者だけの責任ではなく,交通システムの設計そのものに事故の原因を求めることも必要だということが注目されているようです。

一部の国では,社会的な交通システムの整理を試みて成功しているそうです。しかし,多くの低所得・中所得国では,交通インフラの整理がそこまで整備されていないことから,主に法律,教育,社会運動を通じて交通事故の減少を目指しています。

イランの場合

今回紹介する研究はイランで行われたものです。イランでも自動車販売台数はどんどん伸びており,国内で走行する台数も年々多くなっているようです。そうなれば,交通事故も社会的に大きな問題となっていくことは想像できます。

そして,イランは心理学の研究も結構盛んに行われていて,論文の数も多い印象がある国のひとつです。昔から国際学会に行くと,イランから来ている研究者をよく見かけます。

では,どのような研究が行われたのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(A qualitative study on apparent and latent contributing factors to driving errors in Iran)。

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