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性格を統合するひとつの因子
2021年の日本パーソナリティ心理学会第30回大会では,「パーソナリティの一般因子(General Factor of Personality; GFP)」の国際講演が行われました。講演いただいたのは,オランダのエラスムス大学のリンデン先生(Dimitri van der Linden)です。
GFPというのは,人間のパーソナリティ特性(性格特性)が,全体としてひとつにまとまるという統計的な現象であり,近年ではそこに積極的な意味をもたせていこうとする立場です。
GFPの高さ
GFPの高さは,全体的に望ましいパーソナリティ特性を表していると考えられています。ビッグ・ファイブ・パーソナリティでいうと,GFPというのは外向的で,協調的で,勤勉で,開放的で,情緒安定的な方向であることを指します。
病理的統合因子
パーソナリティ特性の中でも,病理的なパーソナリティ特性というものがあります。たとえばパーソナリティ障害を基礎としつつも,病理とまではいかない通常範囲内のパーソナリティ特性も研究されています。
一般的な範囲のナルシシズムは,自己愛性パーソナリティ障害の延長線上にありますし,反社会的なパーソナリティもそうですね。その他にも,各種の病理的徴候に基づくパーソナリティ特性が概念化されています。
そして,「やはり」といいますか,「予想どおり」といいますか,病理的なパーソナリティ特性もひとつの因子にまとまるということが言われているのですよね。
それは「p因子(p-factor)」と呼ばれています。
GFPとp因子
GFPとp因子の研究は,当初はそれぞれ別の者として行われていました。しかし,考えてみればどちらもその根拠は同じなのです。それは,「多くの指標を統計的にまとめていくと,ひとつに収束する」ということです。
◎一般的なパーソナリティ特性をどんどんまとめていくと,一つの因子にまとまる
→GFP
◎病理的なパーソナリティ特性をどんどんまとめていくと,一つの因子にまとまる
→p因子
となると,GFPとp因子との関係が知りたくなってきますよね。実際に両者について検討したこの論文を見てみましょう(Overlap between general factors of psychopathology and personality: They share associations with daily life functioning and communication style)。
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