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青年期の性格発達と内在化・外在化問題
ビッグ・ファイブ・パーソナリティは,次の5つのパーソナリティ特性によって,人間の全体的なパーソナリティを記述しようとするモデルです。
◎外向性:活動的,明るい,強い刺激を求める,人といるのが好き,ポジティブな感情を抱きやすい
◎神経症傾向:不安,抑うつ,怒り,感情の揺れ動き,ネガティブな感情を抱きやすい
◎協調性:他の人を優先,やさしい,共感・同情しやすい,自己主張しない
◎勤勉性:まじめ,計画性,効率重視,規則を守る,自分を律する
◎開放性:好奇心,芸術や哲学への関心,伝統を重んじない,想像力
これらのパーソナリティ特性は,発達的に変化していくことも知られています。特に成人期以降においては,神経症傾向の低下(特に女性),協調性と勤勉性の上昇がよく見られます。外向性と開放性は,やや上昇する傾向も見られますが,協調性や勤勉性ほど明確ではありません。
病理との関連
何らかの精神的な「病理」は,おおきくわけて2つの問題に区別することができます。
◎内在化問題:不安,抑うつなど,個人の内側にある問題
◎外在化問題:迷惑行為,攻撃,違法行為,薬物依存など個人の外側に出てくる問題
これらの問題には,ビッグ・ファイブ・パーソナリティも関連することが示されてきていますが,発達の文脈のなかで関連がどのようになっていくのかという問題については,あまり明確ではありません。
そこで,高校生を対象とした縦断的な研究を行う中で,精神的な問題とビッグ・ファイブ・パーソナリティとの関連を検討した研究を見てみましょう。ただし,スペインで行われた研究です。では,こちらの論文を見てみましょう(Personality development and its associations with the bifactor model of psychopathology in adolescence)。
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