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あえて孤独を選ぶことの背景には

割引あり

孤独や孤独感というテーマは,心理学の歴史の中でも非常に長く続いてきた重要なもののひとつです。

しかし,「孤独」というものに対するとらえ方も,時代によってずいぶん変わるようです。


孤独の価値づけ

これまでに精神分析学者たちや心理学者たちは,孤独に対してポジティブな意味あいを考察してきました。

たとえば,欲求段階説があまりに有名なマズローは,有名な著書『動機づけとパーソナリティ』の中で,自己実現をした人物の特徴のひとつに「孤独」を挙げているようです。

また精神分析学者のウイニコットは,孤独のことを「ひとりになる能力」であると述べており,孤独は故人の感情的な成熟にとって重要だとしています。他の性分析学者も,孤独というのは自分自身を治療するような役割があり,自分の内面に向き合うきっかけを与えるものだと述べています。

実証的研究

孤独についての実証的な研究が展開したのは,1990年代に入ってからだそうです。

たとえば孤独とは,人から物理的に離れることではなく,コミュニケーションの分離つまり他の人がいるにもかかわらず情報や感情のやりとりが絶たれることとして定義されるという話があります。また,物理的な孤立や他者が存在しているにもかかわらず,社会的相互作用が欠けていることを孤独だと定義することもあります。さらに,孤独をひとりであること,ひとりで生きていること,隔離されていること,孤立していることなどで概念化されることもあります。

以上より,孤独というのは,他者とのコミュニケーション上の断絶によって定義される客観的な孤立状態であり,特定の価値的意味あいをもつものではないと定義されます。

孤独を分類する研究者もいます。たとえば…

◎内的指向的孤独:自己発見と内的平和を特徴とする
◎外的指向的孤独:親密さと精神性を特徴とする
◎孤独感:孤独のエピソードとそれに伴う否定的感情を特徴とする

賛否両論

孤独は人生に必要だという立場と,孤独を問題視するという立場と,孤独には両面があります。

人間には,社会的な関係を形成して維持したいという根源的な欲求があるともいわれます。そして,孤独な状態や孤独感を抱いた状態になるというのは,この欲求が妨げられることを意味しており,心身の健康にも悪影響だという話につながります。

孤独感を接近ー回避という基本的な動機づけの枠組みから検討しようと試みた研究があります。接近ー回避動機づけについては,自己報告での測定に加えて脳波による神経生理学的な測定も行われています。どのような結果が見られたのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(There is a party in my head and no one is invited: Resting-state electrocortical activity and solitude)。

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