ベジタリアンに特徴的な性格は?
ヴィーガンとかベジタリアンとか,食に関する種別はとてもたくさんあるようです。「日本エシカルヴィーガン教会」の「ベジタリアンの種類」というまとめが参考になります。
ヴィーガンというのは,「完全菜食やピュア・ベジタリアン(pure vegetarian)とも言う。卵・乳製品・ハチミツ・肉・魚など動物性の食品は含まれない」だそうです。さらに,「動物の命の尊重から実践することをエシカル・ヴィーガン、専ら食事面のみで実践するのをダイエタリー・ヴィーガンと呼ぶ」とも書かれています。ヴィーガンという区別の中に,さらに細かい区別ができています。
同じように,ベジタリアンの中にも,卵や乳製品を含めるかどうかとか,魚や肉の出汁まで口にしないとか,いろいろなパターンがありそうです。
食と性格
ビッグ・ファイブ・パーソナリティと食生活との関連は,ずいぶん昔から多くの研究で取り上げられる研究テーマのひとつです。これまでの研究では,開放性,協調性,神経症傾向のレベルが,菜食主義者となんでも食べる雑食主義者との間を区別することが報告されています。
開放性は,知的好奇心や美的感覚,新しいことへの興味・関心に関連します。環境を守ろうとする信念にも関連しますし,動物への連帯感や動物保護の考え方にも親和性が高そうです。ところが,過去の研究杖は,あまり菜食過ぎとの関連は明確ではないそうです。
協調性は,温厚で思いやりがあり,礼儀正しい特徴を表します。協調性の高さは向社会的行動にもつながりますので,そのあたりから菜食主義にも関連はありそうです。ただし協調性についても,ベジタリアンかどうかとの間との関連は曖昧な報告だけがあるようです。
神経症傾向は,悲しみや不安,抑うつ,怒りなどネガティブな感情の抱きやすさや不安定さに関連します。この特性が高い人は,食に関してもストレスを感じやすいかもしれません。しかし,やはり菜食主義かどうかとの関連は,不明瞭です。
菜食主義の中でも
一口にベジタリアンと言っても,その背景にある要因が違いそうです。倫理的な理由からベジタリアンになっているのか,平等主義や動物の権利に意識が向かうことでベジタリアンになっているのか,それとも健康に注目しているのかなど,背景要因が違えば,パーソナリティ特性との関連も変わりそうです。
そこで,雑食主義と菜食主義との間の違いがビッグ・ファイブ・パーソナリティにかかわってくるのか,またベジタリアンとヴィーガンの違いにもビッグ・ファイブ・パーソナリティが関連するのかというところを,メタ分析で検討した研究結果を確認しましょう。では,こちらの論文を見てみましょう(Meta-analysis of personality trait differences between omnivores, vegetarians, and vegans)。
ここから先は
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?