ナルシストは恋愛関係の中で相手を正しく認識できるのか
ナルシシズム(自己愛)は,自分に対して肯定的で誇大な認識を持ち,自己中心的で他の人のことをあまり考えず,自分が特別扱いを受けて当然だという認識を伴うパーソナリティ特性です。ナルシシズムは,自分自身への認識と,他者への認識において,独特な特徴を持っています。
そしてこのような傾向は,恋愛関係の中でも生じると考えられます。
自己愛的な恋愛
自己愛的な恋愛というのは,自己愛的な本人が,自分がパートナーよりも優れていると認識する傾向があるという点が特徴的です。
ナルシシズム傾向が高いというのは,自分自身にたいして強くポジティブな感覚をいう抱いていますし,他の人を軽く見る傾向にもつながりますので,パートナーを過小評価してしまいますので,パートナーから受けるサポートや利益を十分に得ることができない,という可能性が考えられます。
パートナーをどう見るか
自分自身よりもパートナーをより好ましく見る傾向というのは,どのように測定することができるのでしょうか。
簡単な方法は,ある人(恋愛関係や婚姻関係にある人)に対して,自分自身と相手について評価をしてもらうことです。そして,相手の得点から自分の得点を引いて差の得点を算出します。すると,自分に比べて相手をどれくらいよく見ているかという得点が得られるというわけです。
ただし,「何を評価するか」という観点も重要です。相手に人間的な魅力を感じるのか,活力を評価するのか,資源の多さを評価するのか,能力を評価するのかなど,さまざまな観点が考えられます。自己愛的な人物は,相手の何を理想化するのでしょうか。また,相手に比べて自分のどこを強調するのでしょうか。
このあたりのことについて検討した研究がありますので,こちらの論文を見てみましょう(Narcissistic Admiration and Narcissistic Rivalry: Associations With Accuracy and Bias in Perceptions of Romantic Partners)。
https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/02654075231161165
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