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2023年に読んだ本(5)

今年読んだ本を紹介するシリーズ,第5回目です。今回は,『世界一孤独な日本のオジサン』を紹介しましょう。

いやはや,自分もすっかりオジサンですので,人ごとではありません。


目次

まずは目次を見ていきましょう。序章で書かれているように,孤独は近年,多くの国で社会的なリスクとして取り上げられているキーワードのひとつです。孤独感を扱った研究も,

序章: 最も危険なリスクファクター ―― それは「孤独」
第1章:孤独なオジサンたち
第2章:孤独は「死に至る病」
第3章:孤独の犠牲になりやすいオジサン
第4章:オジサンたちのコミュ力の“貧困”
第5章:孤独の処方箋
第6章:孤独にならないために

年齢を重ねると

年をとったオジサンは「怒りっぽい」というイメージをもつかもしれません。しかし一方で,年をとると「丸くなる」というイメージもあるのではないでしょうか。このあたりの印象は,国によって異なる部分のようです。

 しかし,驚くことに欧米では,「年を取ると,より性格が穏やかになり,優しくなる」という考え方も根強い。筆者もイギリスやアメリカで暮らしたが,お年寄りになればなるほど,話し方がゆっくりになり,気は短くなるというより,長くなる印象がある。一昔前までは日本でもこちらのイメージのお年寄りが多かったように思う。

実際に,心理学の研究を見ると,「年齢を重ねるほど穏やかになる」のほうが正解のようなのですよね……成人期を通じて,男性も女性も,やさしく,まじめで,自己評価が高く,攻撃性が低くなっていく……という結果が報告されているのです。

プライドや驕り

年齢を重ねたオジサンにとって,逃れることができないのが「プライド」です。これが日本のおじさんたちの「呪縛」なのだそうです。

日本のオジサンの呪縛はこの「プライド」という何とも厄介な代物だ。特に終身雇用,年功序列制度という「タテ社会」の中で,係長,課長,部長……と,役職が上がるにつれ,部下という兵隊を手に入れ,指揮していくうちに,敬語で「かしずかれる」ことに慣れていく。「権力」という空気が,「プライド」という風船を膨らませていくようなものだ。

心理学でも,心理的特権意識の研究というものがあります。特権意識というのは,「自分が他者よりも多くを得るに値し,多くを得る権利を持っているという,安定して一貫した感覚」とされるものです。長い間,社会の中で活躍してきたおじさんたちは,「自分は特別」という感覚を抱きやすいのかもしれません。

 日本のように年を経ると自動的に昇進しやすいシステムでは,人は気づかぬうちに段々とそのプライドや驕りを蓄積しやすいのかもしれない。部下や身の回りの人たちに「俺は偉いのだから,これぐらいしてくれて当たり前」という「甘え」のようなものが生まれている可能性はある。

職場を出た後で

日本だけでなく,海外でも,リタイアした後の人生が問題になるようですね。長い人生をどのように生きていくのかが,多くの人にとっては課題になりそうです。

長い人生,どのように生きていくことができるのでしょうか。自分の人生を振り返って考えさせられる一冊でした。

 こうして職場という「村」社会の中に囲い込まれ,人生の大半を過ごしてしまうサラリーマンはなかなか,その村を出て,新しいコミュニティやネットワークを作る,ということに慣れていない。そのためのコミュニケーションのやり方も知らないまま,定年退職して慌てふためく,ということになりがちだ。

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