
Photo by
shinsukesugie
ナルシストの権力や地位への欲求
一般的に「ナルシスト」というと,鏡を見てうっとりしていたり,自分の身体を見せびらかすようなイメージを抱くかもしれません。確かにそういう一面はあるのですが,本質は「誇大で壮大な自分自身に対する意識」「自分は周りとは違うという特別な意識」「他の人々は自分のために動いてくれるはずという感覚」といったところにあります。もしかしたら,一般的なイメージと研究の中での定義は,少しズレてしまっているのかもしれません。
地位への欲求
地位や権力を得たいという欲求は,自己愛(ナルシシズム)を理解する上で重要なポイントだと考えられています。他の人々から注目されたり賞賛されたりしたいという欲求を抱く自己愛的な人々が,社会のなかで重視する要素でもあるからです。
権力を得ることは,社会的な地位の上昇にも重要です。しかし,そもそも自己愛的な人物は,他の人とは違って特別な人間であり,特権的な地位に就くのが当然だと考えがちな一側面もあります。
自己愛的な傾向と社会的地位,権力,そして社会のなかでの所属への欲求との関係を整理することは,ナルシスティックな人々の様子を知るためにも重要なことかもしれません。
3つの研究から,これらの関係についてくわしく検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(Narcissism and psychological needs for social status, power, and belonging)。
ここから先は
1,504字
¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?