
「自分は賢い」と主張する人
「自分の人生はうまくいっている」と感じる背景にも,いろいろな面があるように思います。
たとえば,「さまざまな歯車がうまくかみ合っているからうまくいっている」と感じる人もいれば,「周りにいる人たちのおかげでうまくいっている」と感じる人もいることでしょう。また「あのことがあったからうまくいっている」と,過去の出来事を原因にとらえる人もいるでしょうし,「自分が有能だからうまくいっている」と自分自身の優秀さに原因を求める人もいそうです。
一口に「自分の人生はうまくいっている」と感じたとしても,その背景にある要因の捉え方は人によって違っていそうです。
アドバイス
人生を重ねてくると,若い世代にアドバイスをしたくなるものです。「自分の人生はこういう面でうまくいった。だから,若い世代もここを気をつければうまくいくはず」というアドバイスです。
これは,次世代育成性(ジェネラティビティ;generativity)という,成人期のアイデンティティ課題でもありますね。
でも,先達のアドバイスが役に立つとは限りません。次の世代が生きている世の中は,先輩たちが経験した世の中とは変わってしまっているかもしれません。周囲の人々も違いますし,使っている道具も方法も変わってしまっています。
そして,「偶然うまくいった」という可能性を考える必要性もあります。アドバイスをするときには要注意です。
自分は賢い
「自分は賢いからうまくいっているんだ」という感覚の背後にある,パーソナリティ特性について研究している研究がありますので,見てみましょう。この論文です(Look how smart I am!: Only narcissistic admiration is associated with inflated reports of intelligence)。
ここで注目されているのは,自分自身に対して誇大な感覚を抱く,ナルシシズム傾向です。たしかに「自分は賢い」と思いがちな印象はありますよね。
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