見出し画像

ボーダーラインとビッグファイブ

ボーダーラインと呼ばれるパーソナリティ障害があります。境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder)というのが正式な名称です。

DSM-5にもこの障害については記載されていて,次のような特徴のうち5つ以上あてはまることが診断の基準となります。広く,人間関係や自己意識,感情の不安定さや衝動性を特徴とする内容になっています。

◎見捨てられること(実際のものまたは想像上のもの)を避けるため必死で努力する
◎不安定で激しい人間関係をもち,相手の理想化と低評価との間を揺れ動く
◎不安定な自己像または自己感覚
◎自らに害を及ぼしうる2領域以上での衝動性(例,安全ではない性行為,過食,向こう見ずな運転)
◎反復的な自殺行動,自殺演技,もしくは自殺の脅しまたは自傷行為
◎気分の急激な変化(通常は数時間しか続かず,数日以上続くことはまれ)
◎持続的な空虚感
◎不適切な強い怒りまたは怒りのコントロールに関する問題
◎ストレスにより引き起こされる一時的な妄想性思考または重度の解離症状


パーソナリティ

Personality Disorderと書かれているように,パーソナリティに関連する問題だとされています。では,問題のないパーソナリティと,境界性パーソナリティ障害とはどのように連続していて,どのように違うのでしょうか。

DSM-5には10種類のパーソナリティ障害が示されています。大きくABCの3つに分けられていて,A群(奇妙で風変わりな様子が特徴)には妄想性,シゾイド,統合失調型の3つ,B群(演技的,感情的,不安定)には反社会性,境界性,演技性,自己愛性の4つ,C群(不安や恐れ)には回避性,依存性,強迫性の3つが含まれています。

そして,これらのパーソナリティ障害は,通常の範囲のパーソナリティとして研究されている,ビッグ・ファイブ・パーソナリティとも対応することが示されています。

 境界性パーソナリティ障害とビッグ・ファイブ・パーソナリティ

では,境界性パーソナリティ障害とビッグ・ファイブ・パーソナリティとは,どのような対応関係を示すのでしょうか。ふたごのデータを用いて,境界性パーソナリティ障害の傾向(病理ではない範囲も含んだもの)が,どれくらい遺伝の影響を受けているのか,またビッグ・ファイブ・パーソナリティとの関連がどのようになっているのかを検討した研究があります。この論文を見てみましょう(Borderline personality disorder traits and their relationship with dimensions of normative personality: a web-based cohort and twin study)。

ここから先は

1,621字

【最初の月は無料です】心理学を中心とする有料noteを全て読むことができます。過去の有料記事も順次読めるようにしていく予定です。

日々是好日・心理学ノート

¥450 / 月 初月無料

【最初の月は無料です】毎日更新予定の有料記事を全て読むことができます。このマガジン購入者を対象に順次,過去の有料記事を読むことができるよう…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?