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人をナルシスティックにするホルモン?

割引あり

加齢に伴って,男性ホルモンのテストステロンの量はどんどん低下していくそうです。こちらの製薬会社のページに,年齢とテストステロン値との相関係数が掲載されていました。

◎r = -0.521

という値ですので,年齢とともにけっこう急激に低下していくようです。人によっては,急激にテストステロンの量が低下して,自律神経失調症のような症状になることもあるようで,これが男性の更年期障害につながるということです。


心理面との関連

テストステロンは,心理的な変数とも関連すると言われています。テストステロンは,社会面特に支配的な行動や社会的地位の獲得への動機づけに関連するとも言われています。ということは,これらの行動に関連する心理特性と関連が検討されてもおかしくありません。

ナルシシズム

支配的な行動や社会的地位の獲得への動機づけに強く関連すると言われる心理特性のひとつが,ナルシシズム(自己愛)傾向です。

もともと精神分析学者フロイトが精神病理の解釈のために導入した概念でしたが,1980年前後に心理尺度が開発され,臨床場面での症例も注目され,社会心理学者やパーソナリティ心理学者もこの概念に注目しつつ自己評価や対人関係との関係が数多く研究され,さらに近年では経営やリーダーシップとの関係も注目されるなど,多くの研究者たちの関心を惹きつけてきた概念のひとつです。

ナルシシズムの中学的な特徴は,権利意識(自分が特別な権利を有していると考える傾向)と誇大な自己重要性(自分は重要な人物だという感覚)です。ナルシシズムには,表に出やすい側面として自己主張性や誇大性,優越感などがあり,気づかれにくい側面として傲慢さや競争心,搾取性などがあります。さらに,人の評価に敏感で他者に不信感を抱き,羞恥心が強いといった側面が強調されることもあります。

支配的

支配性という点から言うと,特に自分自身に特別な感覚をもち,他者よりも優れているという感覚を抱きやすい誇大なタイプのナルシシズムが特徴として示しやすい振る舞いです。

では,このようなナルシシズムは,男性ホルモンであるテストステロンと関連するものなのでしょうか。実際に関連を検討したこちらの論文を見てみましょう(Ego-Boosting Hormone: Self-Reported and Blood-Based Testosterone Are Associated With Higher Narcissism)。

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