
取り残される不安とスマホ依存との関連
一昔前,「電車の中でスマホを見る人たちばかりになった」と話題になったことがあるのを,もはやみなさんは忘れてしまっているのではないでしょうか。今や,電車の中でスマホを見ていない人のほうが,圧倒的に少数派に思えますよね。それだけ多くの人がスマホから注意をそらすことが難しい世の中になっています。
スマホの普及
統計によると,世界には約25億人のスマホユーザーがおり,世界人口の3分の1を占めているそうです。スマホを使うと,人と人とがつながり,リラックスする時間を過ごしたり,買い物をしたり,オンラインで勉強をする人もいます。スマホは私たちの生活を豊かなものにして,便利なものにしていることは否定できません。
しかし一方で,スマホのアプリは,使用者の感情を引き出し,強迫的に使うことを促します。
スマホ依存
もはやそれなしでは生活できず,離れることができず,実生活にも支障が生じているのであれば,それは立派な「依存」です。そして,あらゆることが依存につながる可能性があるのですが,当然ながらスマホも依存状態になります。
スマホ依存の場合,この背景にはさまざまな要因が考えられますが,この中でも近年,取り残される不安(fear of missing out;FoMo)という要因が注目されています。
FoMo
取り残される不安(fear of missing out;FoMo)とは,誰かの潜在的な資源ややりがいのある経験を逃すことへのおそれから生じる,おそれ,不安,喪失感などのネガティブな感情によって特徴づけられる複合的な感情体験のことを指します。
はたして,FoMoはスマホ依存とどれくらいの関連があるのでしょうか。メタ分析で両者の関連を検討した研究があります。こちらの論文を見てみましょう(The association between fear of missing out and mobile phone addiction: a meta-analysis)。
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