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運動すると心理面の良くない影響が弱くなる

割引あり

薬物中毒は,世界中で最も蔓延している精神疾患のひとつだそうです。2019年の報告によると,薬物使用者は2億7000万人,薬物中毒患者は3500万人もいると推計されています。2017年には世界で58万5000人の死者も出していると推定されています。

アメリカ合衆国では2300万人以上の薬物中毒患者がおり,中国では毎年200万人以上¥が薬物使用者だと報告されているという統計もあるそうです。


攻撃性

薬物中毒者は,攻撃性が高いという報告があるようです。攻撃性というのは,身体的,言語的な攻撃性だけでなく,敵意,憤り,自己への非難などの認知的な攻撃性や認知的な特徴も含みます。多くの研究で,薬物中毒者や薬物のリハビリセンターに入所している人々は,攻撃性が共通して見られると報告されているようです。

また,薬物中毒者のパーソナリティ特性として,ダーク・トライアドも注目を集めています。ダーク・トライアドも攻撃性と密接に関連するパーソナリティ特性のまとまりです。ダーク・トライアドは,マキャベリズム,サイコパシー,ナルシシズムのまとまりで,道徳観の低さ,共感性の低さ,敵対的なパーソナリティの特徴を表現します。

自己制御

一方で,個人が自分の反応をコントロールして制御する傾向である,自己制御や自己コントロールは,薬物使用や攻撃性を抑制する要因になります。認知面や感情面,行動など全面的に制御する傾向が自己制御ですので,うまく働くことでさまざまな欲求を制御するために機能します。

ダーク・トライアドと攻撃性との関係についても,自己制御がかかわることが示されています。また,身体を動かすことも,攻撃性やストレスを和らげる効果をもつはずです。

ダーク・トライアド,自己制御,そして身体の運動と,薬物使用との間の関係は,どのようになるのでしょうか。中国の薬物リハビリセンターで行われた研究があります。こちらの論文を見てみましょう(The Dark Triad and aggression among drug abstainers: a moderated mediation model of self-control and physical exercise)。

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