拾った財布に赤ちゃんの写真
イギリスの心理学者リチャード・ワイズマンは,次のような実験をしました(『その科学が成功を決める』より)。
240個の財布を用意します。その中に,宝くじ,割引チケット,メンバーズカードなど財布に入っていそうなものを入れました。それらに加えて,財布を40ずつにわけて,財布を開けたときにすぐ目につくポケットに次のものを入れました。
1. 笑顔の赤ちゃんの写真
2. かわいい仔犬の写真
3. 幸せな家族の写真
4. 穏やかな老夫婦の写真
5. 慈善事業に最近寄付したことがわかるカード
6. なにも付け加えない
これらの240個の財布をランダムに混ぜ,通行人の多い通りの目につく場所に1つずつ落としていったそうです。運がよければ,拾った人が警察に届けたり連絡をしてきてくれます。
さて問題です。この6種類の財布のうち,どの財布がいちばん戻ってきたでしょうか。
目次
・どの財布が戻ったか
・ノートのヒント
・動物保護団体への寄付
・心理的麻痺
・寄付で行動を制御する
・大学への寄付
・寄付で幸せに
・最後に
どの財布が戻ったか
戻ってきた財布のうち,いちばん戻ってこなかったのは,何も加えなかった財布でした。
・何も加えなかったもの …… 6パーセント
その次が慈善事業に寄付をしたことがわかるカードが入った財布です。
・慈善カードを入れた財布 …… 8パーセント
写真を入れた財布は,比較的よく戻ってきましたが,入っていた写真の種類によって戻ってくる確率が違っていたそうです。
・穏やかな老夫婦の写真 …… 11パーセント
・かわいい仔犬の写真 …… 19パーセント
・幸せな家族の写真 …… 21パーセント
そして,いちばん戻ってきた成績がよかったのは,笑っている赤ちゃんの写真を入れた財布だったそうです。
・笑顔の赤ちゃんの写真 …… 35パーセント
この実験は「人のために」と思ってする行動であっても,意外なことに左右されてしまうことを示しています。もしかしたらその行為をする本人すら,何が原因でそういう行動をとってしまったのか,よくわかっていない可能性すらあります。
もっとも,日本は比較的財布だけでなく落とし物がよく返ってくることが知られています。日本でこの実験をしたら中身によらず大部分が返ってくる,という可能性はありそうです。
ノートのヒント
そういえば,noteの記事を書く際,右側に「ノートのヒント」が表示されています。
その中の見出し画像をつけようの記事の中には,
「一般的には「子供」「女性」「動物」の画像はクリックされやすいと言われます」
と書かれています。果たして,写真によるクリックの差はあるのでしょうか(あると思います)。そして,クリックする人はその違いに気づいているでしょうか(あまり気づいていないと思います)。
ということで,この記事にもつけてみました。果たして,写真によってクリック数が伸びることはあるのでしょうか。
動物保護団体への寄付
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