自己愛はどれくらい遺伝するのか
人間の性格がどれくらい遺伝するのかは,ふたごから得られたデータを分析することで推定されます。
ふたごには一卵性双生児と二卵性双生児がいます。一卵性双生児のきょうだいは同じ遺伝をもちます。二卵性双生児の遺伝的な一致率は50%で年齢の異なるきょうだいや親子と同じです。そして,一卵性双生児も二卵性双生児も,それぞれが特に特別で決定的な環境上の違いはないということが,この問題を考えていく際の前提となります。
一卵性双生児と二卵性双生児のきょうだいの類似性を比較するというのは,遺伝率が違う組み合わせを比較することを意味していて,そこから遺伝や環境の影響力を計算していきます。
ナルシシズム
極端なパーソナリティ特性は,環境によって形成されるのでしょうか,それとも遺伝の要素が大きいのでしょうか。
たとえば,ナルシスティックな性格です。自分自身について素晴らしいという感覚を抱き,その素晴らしさを維持しようと試みます。あるいは,自分は素晴らしい人間なのだから特別な扱いを受けるのが当たり前だと感じ,周囲の人にも特別扱いをするように求めていきます。時に尊大な振る舞いをしたり,目立ちたがり屋であるような行動をしたり,また時には周囲の人から賞賛されないのではないかと疑心暗鬼になってしまう時もあります。
ナルシスティックな人物は,周囲に大きな影響をおよぼすことでも知られています。自分の思うように周囲の人を動かしたり,過度な要求をすることもありますので,周囲の人が困ってしまうような場面も出てくる可能性があります。
遺伝なのか環境なのか
では,ナルシスティックな性格は,どれくらいの遺伝率になるのでしょうか。中国で行われたふたごの研究を確認してみましょう。こちらの論文です(A Behavioral Genetic Study of Intrapersonal and Interpersonal Dimensions of Narcissism)。
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