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日々是好日・心理学ノート

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2023年2月の記事一覧

報酬を求める傾向の生涯にわたる変化

何かしらの報酬を求めたり,獲得したりしようとする傾向というのは,私たちが生きていく上で欠かせないものです。食べたり飲んだり,お金を得たり,というのも私たちには必要なものです。それから,報酬を得ようとすることによって,さまざまな学習が促進されたり,工夫をしたりということも生じます。 BIS/BASイギリスの心理学者グレイは,強化感受性理論という独自の理論を提唱しました。この理論では,行動賦活システム(BAS)と行動抑制システム(BIS)という2つの(気質)特性が設定されます。

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大学時代の懐かしい感覚の変化

過去に対する感傷的な憧れや,切なさを抱く感情のことを「ノスタルジア(nostalgia)」といいます。日本語だと,郷愁とか望郷とか,そんな言葉で表されるでしょうか。そして,心理学でノスタルジアはよく研究されています。 ノスタルジアを感じるときというのは,過去の意味のある出来事を思い出すときであることが多いと言えます。誕生日や卒業式や記念日など自分自身にとって重要な出来事を思い出しますので,自己に関連した感情であるとも言えます。また,重要な他者のことを思い出すことも多いので,

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ChatGPTでキャラクター設定してみる

AIは性格を加味した登場人物像をつくることができるのでしょうか。小説や漫画やゲームのキャラクターなんかをつくるときに,自動的に生成してくれたらありがたいですよね。 ビッグ・ファイブ・パーソナリティChatGPTに,ビッグ・ファイブ・パーソナリティを設定した上でストーリーを作らせてみましょう。これまでにも試してみたのですが,ChatGPTはビッグ・ファイブ・パーソナリティをちゃんと理解しています。 今回のChatGPTに対する命令(呪文?)は,次のようなものです。 さて,

職場や教育場面で非認知能力に介入する際のポイント

現在,学校でも職場でも,うまくパフォーマンスを高めていくことの多くは,状況よりも個人の特徴にある程度の原因が求められる世の中になっています。 要は,「自己責任」です。 そのために,私たちはそれぞれ,つねに高いところを目指そうとして,努力を積み重ね,自己研鑽をしつづけることを求められます。……いや,正直言って,疲れてしまうこともありますよね。 アメリカ合衆国では,企業その他の組織は従業員の学習や自己研鑽の介入に対して,年間で約1700億ドル以上を費やしているという統計があ

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ChatGPTに人物評価をさせる?

今回もChatGPTで遊んでみましょう。AIは,物語の登場人物の性格を評価することができるのでしょうか。面白そうではありませんか? 評価項目を設定登場人物の評価は,ビッグ・ファイブ・パーソナリティで設定します。次の5つです。 そして,次のような指令も加えておきます。 こうすることで,本当にビッグ・ファイブ・パーソナリティに基づいて,登場人物を評価することができるでしょうか。 シャーロック・ホームズの物語では,やってみましょう。次のような指示をしました。 さて,どうな

ダークな性格と恋愛や友人の崩壊パターン

ここの記事で何度も登場してきますが,ダーク・トライアドは,マキャベリアニズム,ナルシシズム,サイコパシーという3つのダークなパーソナリティ特性のまとまりとしてよく研究されています。共感性が低かったり,感情的に冷淡だったり,他の人を操作するといった特徴をもつパーソナリティ特性たちです。 ただ,日本ではまだまだ,あまり研究が行われていない印象があるのですけどね……(こういった研究が好まれないという文化的要因はあるのでしょうか)。 人間関係の解消「別れたい」と思ったときに,どの

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ChatGPTに外向性について質問してみた

今回もChatGPTにいくつか質問をしてみました。最近,あまりに多くの人々がアクセスするからか,時間帯によってはつながらないことも多くなってきています。 外向性とは何ですかまず,基本的なことを尋ねてみましょう。「外向性とは何ですか?」と尋ねてみました。 教科書的な基本事項が押さえられていますね。「社交的で社交的な」のところは,翻訳の問題でしょうか。 じゃあ,英語で尋ねてみたらどうなるかですよね。 「outgoing」と次の「social」のところで,日本語に翻訳すると

強欲は何にとっていいことなのか

欲求が強く,際限なく何かが欲しいと思う傾向は,研究の対象ともなっています。「強欲傾向(greed)」として,測定する尺度も開発されています。 強欲さの傾向には個人差があり,その個人差はある程度,正規分布するように見えます。これは海外の研究でも日本の研究でも同じです。 強欲はいいのか悪いのか強欲というのは,そもそも道徳的・倫理的に望ましくないとされるような傾向を指します。しかし,強欲のような心理特性は人々の間にばらつきをもたらしています。これはなぜでしょうか。 ひとつの考

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ダークな性格の国際比較

国や地域でパーソナリティ(性格)特性が違ってくるというのは,確かにデータ上はなんらかの形で示されます。実際に差がありますし,それが複数の研究で共通する場合もあります。 でも問題は,それが何を意味するか,なのですよね。 文化差パーソナリティ特性の男女差についても,多くの研究が行われています。マキャベリアニズム(他者を利用する),ナルシシズム(尊大で賞賛を求める),サイコパシー(冷淡で倫理観が欠如)という3つの特性がまとまったダーク・トライアドについても,多くの国を比較する研

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ダニング=クルーガー効果は再現されるか

「ダニング=クルーガー効果」という言葉も,結構よく知られている心理学の用語です。「ダニング」と「クルーガー」というのは心理学者の名前なのですが,何らかの能力とその能力を正しく推定する能力との間には,逆の相関関係が見られるという現象のことを指しています。 言い換えると,一般的に人々は,自分の能力を推定するときにプラス方向のバイアスをかける(良い方向にゆがめて解釈する)のですが,実際の能力が低い人ほどこのバイアスが強くなる,という不正確な自己認識が生じるというものです。 この

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仕事に関連するあれこれと自尊感情との因果関係

仕事をするというのは,人生の中で大きな比重を占める活動です。思春期や青年期では,仕事は付加的な活動に過ぎないのですが,いったん仕事を得ると,起きている時間の大部分を仕事が埋めるようになっていきます。 仕事は個人の自己概念やアイデンティティとも深くかかわっています。それだけに,仕事でうまく行くことは大きな満足につながり,自分自身を評価する程度である自尊感情にも密接につながると考えられます。 仕事と自尊感情自尊感情はポジティブな心理特性で,非認知能力としても取り上げられること

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博士号を取った後で何をするか

私が博士号の学位を取ったのは2000年3月でした。指導教官の退官と同時です。 ちなみに細かいことですが、当時はまだ国立大学だったので、「指導教官」に「退官」という言い方をします。今の国立大学法人では公務員ではなくなりましたので呼び方が変わって、私立大学と同じで「指導教員」に「退職」です。 前の年のゴールデンウイーク前くらいでしょうか。大学院生室にいた私のところに指導教官がやってきて、「いろいろと忙しくしているかもしれませんが、これから半年くらいの間、集中して書けますか」と

コカインと自己愛は依存的で似ている

自己愛性パーソナリティ障害は「NPD(Narcissistic Personality Disorder)」とも呼ばれます。おそらく症例としては多くはないと思いますが,臨床例としては,なかなか治療をすることが困難とされたり,治療に対する抵抗性が高いとか,再発リスクが高いともいわれています。 以前から臨床例の中では,自己愛的な傾向が2つのサブタイプに分けられています。ひとつは誇大なタイプで,恐れを知らず,自信に満ちあふれ,他者を支配しようとし,権力や支配を求める傾向が見られま

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薬物使用に関連するダークな性格たち

「レクリエーショナル・ドラッグ」と聞くと,どのようなものを思い浮かべるでしょうか。遊びや気晴らしとして,気軽にドラッグを使用することなのですが,合法なものも違法なものも,ここには含まれてきます。 気軽な薬物たとえばカフェインは私もコーヒーをよく飲みますのでよくとるのですが,これもレクリエーショナル・ドラッグのひとつです。カフェインは,アメリカ人の約89%が定期的に摂取するという統計があるそうです。 アルコールもよく摂取されるレクリエーショナル・ドラッグです。これまた日本で

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