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恋人〜Leica M5

ライカというと大体持ち物自慢みたいな話になるから避けているのだけど(写真の云々をぶっ飛ばすくらい機材ラブが分かるならいいんだけどね)、M3から始まってM2、M4-P、M6、IIIf、M8、M8.2、M9と使ってみて、ひときわ記憶に残るカメラはM5なのである。

ズマロンとかLマウントのかわいいのが乗ると愛らしい
これがおでかけワンセットだった

載せたレンズはズマロン35mmかズマリット50mmだった。いずれもLマウントの古いやつだ。
ボディは初め銀だったが、露出計が故障してから黒のに替えた。
大して当てにならない露出計なんか要らないだろうと言われそうだが、M5のM5たる所以のひとつが内蔵露出計だと思うので、ここは押さえておきたいのだ。

M5はライカの異端とされる。
M3でライカの形は完結していて、あれ以外のライカはライカに非ずという、例の鼻もちならないアレである。
まぁそう興奮してもいけないから、色々振り返ってみる。
まずボディが大きい。
個人的にはバルナックのサイズが一番好きだが、M3もとてもコンパクトに造られている。
スナップショットを撮るときには、スッと取り上げてファインダーを覗くことができる。

話は逸れるが、そこら辺F社のレンジファインダー風デジカメは軽すぎていけない。
サッと持ち上げたときに軽すぎて行きすぎてしまう。
もっとも最初のやつしか知らないから偉そうには言えないが。

ところがM5はそうはいかない。
大体初期のものは縦吊りなので「横に直す」動作も加わる。
さらに手の小さいぼくには掴む感じにはならないので、どうしても構えるときにもたつく。
中指をセルフタイマーだかのレバーに引っ掛けて持つのでとても不安定だ(支点が親指に引っ掛けた巻き上げレバーであるのは、他のMと変わらない)

あとは先述の内蔵露出計だ。
これは巻き上げたときにフィルム前方ににCdSの受光素子がアームで降りてくるという凝ったシステムになっていて、こいつが実に故障しやすい。
最初のは故障したのを神戸だったかにある専門店で修理してもらったのだけど、やっぱりおかしくなって手放してしまった。

ライカに露出計というのはM3のころから「外部露出計」という形では存在する。
ホットシューに乗せるMCとかMRとかのアレだ。

右下のに乗せているのがそれ

でもライカの使い手から言わせれば「そんなもん要る?」ということらしい。
露出くらい勘でやれと。
まぁそりゃそっちのが早い。
サニー16ロジックで「日陰2段落ち」とか「室内5段落ち」とかだが、もうベテランの皆さんは体感としてお持ちらしい。

でもなぁ...と思う。

ライカはそれくらいじゃないと使えないカメラなのかと。
ライカ自体はちっともそんなことを考えてないだろうし、だからこそ外部露出計やM5、M6以降は露出計を内蔵しているのだ。
便利なんだからいいじゃねぇかと思うのである。

手放してかなり経つが、定期的に恋しくなるフィルムのカメラはM5なのである。
悪しきところばかりを論ったが、あばたもエクボ、出来の悪い子ほどかわいいのである。
今から自家現像とか始めちゃうとあれこれ金がかかって仕方ないので思い出すだけにしておく。
言ってみれば「昔の恋人」的なものなのかも知れない。

御託はいい。
そんな恋人との蜜月を見てもらおう。
フィルムは色々。
現像、スキャンは手前でやっている。

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