私たちは食べたもので出来ているvol.33#309
皆様、こんにちは。
佐伯です。
毎週土曜日は食について様々な角度から検証していく連載を始めたいと思います。
私は仕事柄、様々な食品に関わることがあります。
一つの製品に生産者様やメーカー様のこだわりや信念など、様々な思いが込められております。
これが製品の美味しさや健康への配慮、地球への配慮など様々な面でも思いが反映されています。
さて、8月も下旬になりました。
まだまだ暑い日は続きますが秋の到来はすぐそこです。
季節が変化することで、気持ちも新たになり、環境の変化に対応するために体調を整えようと心機一転心掛ける方々も多いと思います。
その中で食事の占める重要性はきっと少なくはないでしょう。
私たちが普段、雑誌やインターネットで目にする「完璧な栄養バランスを取った食事」の重要性が強調される中、その実践が本当に私たちの生活にプラスの効果をもたらすのか、一度落ち着いて考えてみる必要があると思います。
今回は、理想的な栄養摂取を目的とした食事の意義とそのデメリット、そして食事を楽しむことの大切さについて深掘りしたいと思います。
①理想的な栄養摂取の食事とは
私たち日本人は国民性なのか、より完璧を求めがちです。
学校でも「苦手な科目を無くして満遍なく勉強しましょう」などと兎角オールマイティーに高得点や満点を目指そうとします。
それは食事についても同じです。
雑誌やインターネットの記事に100点満点の食事についての記事が山のように存在しています。
「100点満点の食事」とは、身体に必要な全ての栄養素を過不足なく摂取する食事のことです。
たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、そして水分といった、体を維持するために欠かせない栄養素をバランス良く摂取することが理想とされています。
例えば、朝食には高タンパク質の卵や低脂肪ヨーグルト、昼食には全粒粉のパンとたっぷりの野菜、夕食にはオメガ3脂肪酸を含む魚といった具合です。
このような食事は、理論上は非常に健康的で、病気予防やエネルギーレベルの維持に貢献します。
しかし、この理想は現実にはかなりの困難を伴います。
そしてこの状態が本当に人間にとって幸せな食事なのかについて疑問が残ります。
②理想の栄養摂取を目指すことのデメリット
100点満点の食事を取り続けることは、相当に困難です。
まず、食材の選択や調理方法に対する制約が多くなり、食事がストレスの原因となる可能性があります。
栄養素を正確に管理しようとすると、食べたいものを自由に選ぶ楽しみが失われ、食事が「義務」になってしまうこともあります。
さらに、家族や友人との食事においても、完璧な栄養を追求することは難しいでしょう。
特に外食の際に、栄養バランスを気にしすぎることで、リラックスした時間を楽しめなくなる可能性があります。
また、食事を栄養だけで評価することは、食文化や食材の多様性を軽視することにもつながります。
③食事を楽しむことの重要性
食事は単なる栄養補給の手段ではありません。
食べることは、心身の健康に大きな影響を与える「楽しみ」の一つです。
美味しいものを食べる喜びや、家族や友人と一緒に食事をする楽しさは、私たちの生活に豊かさをもたらします。
栄養にこだわりすぎるあまり、この楽しみを見失ってしまうことは、本末転倒と言えるでしょう。
理想的な栄養摂取を目指すことは重要ですが、それ以上に重要なのは、バランスを取りながら食事を楽しむことです。
週に何回かは「100点満点の食事」を心がけつつも、その他の日はリラックスして食べたいものを楽しむ。
私はこれが、心地よい食事習慣を作るための一つの方法ではないかと考えます。
④まとめ
理想的な栄養摂取を目指すことは、健康管理の一環として重要な位置を多く占めます。
しかし、完璧を追い求めるあまり、食事の楽しさを犠牲にすることは絶対に避けるべきです。
食事は、身体だけでなく心の健康にも影響を与えます。
だからこそ、栄養だけにこだわらず、心地よい食事習慣を持つことが最も大事だと考えます。
最終的には、健康的でありながらも楽しい食事を取り入れることで、私たちの生活は健康と人生の豊さを両立できるのではないかと考えます。
それでは皆様、ご機嫌よう。