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シベリウスの足跡を訪ねて2:元老院広場のフィンランディア賛歌

2016年8月、ヘルシンキに滞在したときのこと・・・ 元老院広場にたくさんの人が集まってきて、突然、第2の国家と言われるフィンランディア賛歌の合唱が始まりました。

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通りがかった人も足を止めて、すごい熱気でした!

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何かの記念日かと思ったのですが、分かりませんでした。そのかわり、作曲者シベリウスの生誕150年にあたる前年に、同じ元老院広場でフィンランディア賛歌を歌っている動画を見つけました。 シベリウスアカデミーの呼びかけに応じて、たくさんの人が参加しています。 こんなに大勢集まってもどこか静かで、それでいて熱量がある感じがフィンランド人らしいと思います。

フィンランディア賛歌は、交響詩フィンランディア(1899年, 1900年改訂)のメロディーをシベリウス自身が合唱用に編曲したものです(1941年)

交響詩フィンランディアは、愛国的な歴史劇の付随音楽の最終曲「フィンランドは目覚める」が原曲です。ロシアの圧政に苦しんでいたフィンランド人の愛国心を刺激するとして、ロシア領内で演奏禁止になりました。当時ニコライ2世は、ナショナリズムに対抗するため、強力なロシア化政策を打ち出しており、*フィンランド軍をロシア軍に統合する  /  行政庁ではロシア語を使用する  /  フィンランドに関する法律はロシアの立法府が決めるetc ・・・ フィンランド大公国として自治権を与えられていたフィンランドからすると到底認められない内容でした。50万人を超える反対署名も功を奏さず、独立運動に結びついていきます。シベリウスはその激動の時代を生きた作曲家でした。

ヘルシンキ・ミュージックホールのこけら落としで演奏された交響詩フィンランディア。 管弦楽曲ですが合唱付きでも演奏され、この動画では5分30秒くらいから歌が始まります。重苦しい序奏から、闘争的な緊迫した中間部をへて輝かしい勝利で終わる8分間は、何度聴いても胸が高鳴ります。


フィンランディア賛歌が素晴らしいと思うのは、賛美歌にもなっていることなんです。「やすかれわがこころよ」など、複数の歌詞がつけられて歌われています。気持ちを鼓舞し胸が熱くなるメロディーが、同時に静謐な美しさも湛えている・・・聴き比べると、この曲の持つ普遍性を感じます。 皆さんは、どのフィンランディアがお好きですか?


フィンランディア賛歌(作詞:コスケンニエミ / Veikko Antero Koskenniemi) 

大地から沸き起こる声のような男声合唱が素晴らしい!  ”朝の光が夜の闇に打ち勝った。お前の朝がきた。わが祖国よ・・”(大意)


賛美歌 This is My Song , O God of All Nations

別名 A Song of Peaceと言われ、"a song of peace for their land and for mine"という歌詞が心に響きます。


ウェールズ愛唱歌

素朴で風景にもよく合っていますよね。


また、賛美歌ではありませんが、フィンランドで知らない人はいないという映画「アンノウン・ソルジャー」では、ソ連との闘いに破れて撤退するときの音楽にフィンランディアが使われています。


1957年に91歳で亡くなったシベリウスの葬儀は、元老院広場を望むヘルシンキ大聖堂で営まれました。 葬列を見送る人々をみると、シベリウスがどんなに敬愛されていたかが分かります。

じつはこの元老院広場には、12代ロシア皇帝アレクサンドル2世の銅像が立ち、すぐお隣に北欧最大のロシア正教会であるウズペンスキー寺院、南のマーケット広場にはロシアの象徴、双頭の鷲のオベリスクがあるなど、この地が経てきた歴史を物語っています。

コロナ下の2020年、元老院広場はオープンカフェに姿を変えていました。短い夏の憩いのひと時は、今の状況を乗り切っていくためにも欠くことが出来ないのでしょう。 様々な歴史を見守ってきた広場が次はどんな表情をみせてくれるか、再訪が楽しみです。 平和な明るい街角でのんびりコーヒーを飲みたいな。

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<追記 2024年3月>
Liberaが歌うBe Still My Soul、とても心に響いたのでnoteに残しておきます。