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はじめてのシルクスクリーン「1枚の写真からはじまる!ダブルトーンで刷ってみよう!」

新開地アートひろばには、シルクスクリーン印刷の本格的な設備が整った工房が設置されています。この工房を活かし、新たにシルクスクリーン印刷で作品制作を目指す方に向けて、シルクスクリーン版画の魅力を知ってもらう場を提供すべく、年4回のワークショップを実施します。

今回のテーマは、「ダブルトーン」です。ダブルトーンとは、1枚のモノクロ写真から明暗の違う2つの版を作り、重ねてプリントすることです。1色1版よりも立体感が表現でき、配色によってさまざまな世界観に仕上げられます。


1.シルクスクリーンとは?

シルクスクリーンは、孔版印刷の原理を使った版画の一種です。水と空気以外は印刷できると言われるほど、様々なものに印刷可能な技法で、現在でもTシャツやCDラベル印刷、看板、電飾など多くの印刷に活用されています!

2.ダブルトーンの版を作るには?

ダブルトーンの版の制作方法は、いくつかあります。例えば、コピー機の濃度設定の「濃く」「薄く」を調整して印刷する、PCソフトで画像編集する、露光時間を変えて製版する・・・などです。今回のワークショップでは、PCソフトで画像編集をする方法でダブルトーンの版分けを行いました。

PCソフトで画像編集をする
露光時間を変えてみる(10カウント~60カウント)

3.原稿選び

今回は、参加者の皆さまの写真をひろばスタッフが印刷濃度の異なる4種類に分版し、その中から2種類の原稿を選んでいただきました。写真の中にあるどの部分をしっかり表現したいのかによって選ぶ原稿が違います。例えば、下の写真をご参照ください。ペンギンの顔の部分をはっきりと表現したいのか、水面の部分を表現したいのかによって選ぶ原稿が違います。

トレーシングペーパーにコピー機で印刷したもの

4.製版作業

原稿が完成したら、製版作業を行います。まず、バケットスキージーを使って版に感光乳剤を塗り、暗室で乾燥させます。感光乳剤は、紫外線に反応し固まる性質を持っています。

次に、露光機を使い、版に強い光を当てます。この際に、版と露光機の間に原稿を挟み、光の当たったところと、光が遮られたところに分けます。その後、露光機の光が遮られ、固まっていない感光乳剤を水で流すと、絵柄が出現します。この版を乾燥させると製版が完了します。

5.印刷

基本的に、暗い方の版を明るい色のインクで刷り、その上から明るい方の版を濃い色のインクで刷ると、より色幅のある奥行きができた仕上がりになります。

6.改版

製版時の感光乳剤を剥離し、元の状態に戻します。版に付いたインクを洗剤で落とし、剥離剤を両面にしっかりと塗りつけます。しばらくすると、感光乳剤が溶け出すので、高圧洗浄機を使ってしっかりと落とします。その後、乾燥させ、使用したヘラやスキージーなどを洗って作業終了です。

7.合評会

最後に、完成した作品を並べて感想を話し合いました。元の写真とはかなり雰囲気の違う、ダブルトーンならではの魅力が詰まった作品になりました。ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました!

8.アトリエ一般開放日のご案内

当館では、今後も工房の一般開放のほか、ワークショップの開催、近隣施設との連携プログラム、アーティストとの協働制作など、シルクスクリーン技法の普及活動にも取り組んでまいります!!

また、シルクスクリーン制作をしてみたいと思われた方は、新開地アートひろばのアトリエでも、シルクスクリーン制作を行えます。スクリーン枠やインク、露光機、洗い場といった、制作に必要な設備や道具を備えていますので、初心者から経験者まで、利用者それぞれの創作活動に合わせた制作が可能です。一般開放日にご利用いただくには、事前のご予約が必要です。ホームページで詳細を確認していただき、ぜひお越しください。スタッフ一同、心よりお待ちしております!!

▷シルクスクリーン工房(アトリエ)のHPサイトはこちら