![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/50969006/rectangle_large_type_2_75f22796e244e55a1cba74b32d0d7e9a.jpg?width=1200)
羽ばたく日まで期間限定我が家のペット
ここにいると、生物の生と死を目のあたりにすることが多い。
春になると庭のあちこちで鳥たちが巣作りを始める。
やがて新しい命が芽生える。
時々、いや、けっこう頻繁にヒナを発見することがある。
たいていは、何かの拍子に巣から落ちたもの。
それらはすでに、傷を負っていたり、すでに小動物の餌食にされた姿。
自然の摂理とはいえ、残酷だ。
まだ息のあるヒナを何度となく保護し、自然に返そうとするが
ひと晩を越せずに、翌日には庭に小さなお墓をつくることになる。
でも 今回のヒナ、いや赤ちゃんは生きている!
15メートルはあると思われる巣から落ちたにもかかわらず。
それは ハシボソガラスの赤ちゃん。
【ジュ-ル】と名付けた。
体長約15センチ。まだ歩くことさえできない。
ただ 「ぎゃ--あ ぎゃ--あ」と鳴くだけである。
野菜が入っていた木箱を巣にする。
苔を入れて、夜には穴のあいた古い靴下をいれてやる。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/50970242/picture_pc_9eecd2028a8dbaac1368f02189e987b0.jpg?width=1200)
翌日は巣ごと外に出してやる。
庭にやって来る常連の猫どもに目を光らせながら。
常連の猫どもは三匹。
一匹目は、白靴下をはいたクロ。二匹目は、ジョン万。こいつは、飼われ猫で水色の細い首輪をしている。三匹目は、フェニョン(フランス語で怠け者)こいつは、毎日木陰で日光浴をしている。
ジュ-ルが我が家に来てから、日常のリズムが変わった。
まず、餌やりがけっこうたいへんである。
幸い、カラスは雑食だから何でも食べてくれる。
主食はミルクに浸したパン。生きたミミズをやってみたけどあんまり好きじゃないみたい。カマンベールチーズもあげてみた。これもあんまり好きじゃなさそう。でもパンに混ぜてやったら食べた。流石、フランスのカラス!
ほんの少しの餌を一時間おきくらいにやる。朝8時から21時までずっと。
これは人間の赤ちゃんの授乳よりたいへん。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/50971287/picture_pc_3ef5a628a4fb66f382a1c0a737503bfa.jpg?width=1200)
でもね、鳥ってすぐに大きくなる。
あと一週間もすれば、自分の足で、ピョンピョン跳ねて歩けるようになるだろう。
ひと月もしたら、きっともう飛べるようになる。
羽ばたける日がくるまで、ジュ-ルは我が家の一員。
期間限定の我が家のペット。羽ばたく日まで。
おしまい
【2022年9月14日追記】
この記事はひとつのエッセイとして完結するつもりで発信しましたが、この後、お話が続くことになり、数か月間の連載、そして読んでくださったクリエイター様方の記事をまとめたマガジンを作りました。
よろしければお立ち寄りいただけると嬉しいです。
また このマガジンをもとに書き下ろした三部作もあります。
あとりえ・あっしゅ
いいなと思ったら応援しよう!
![あとりえ・あっしゅ|フランス田舎のリアルを発信中!](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/48357973/profile_782ddba93d13a05a8a3c4860c44078fe.jpg?width=600&crop=1:1,smart)