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【かぁ(火)曜日はカラスのジュ-ル】3度目の奇跡

7月2日。魔の金曜日。前回のお話では、ジュ-ルが庭で猛禽類に襲われ、命にかかわる大怪我を負ってしまったところで終わっていました。

前回のお話は、こちら

今日は、襲われた日から3日間のお話です。


7月2日 金 【DAY 1】

ジュ-ルの傷は、猛禽類のするどい爪痕が一目でわかるものでした。

ぐっさりと爪でえぐられた傷は、ジュ-ルの左側の頭、顔、首にかけて数ヵ所。ひどく出血していました。

そして血のりで、毛がべったりとしていました。もう以前のような、ふわふわで、つるりとした黒い毛ではありません。

そして、左目は涙目で、半分だけ開いています。右目は瞼を閉じたまま。でもその下の眼球は、たえず動いていました。

傷を消毒して、化膿させないことが、命を救う道。そう信じて、めん棒を使ってアルコール消毒をしてやります。

口から、あわを吹いているので、くちばしをそっと開けて拭き、スプーンを使って水を与えます。

ぐったりとしていたジュ-ルの体に少しずつ力が戻り始めました。

そうして、夜には、ようやく自分の足で立って、うなだれていた首も普通の位置に自分の力で支えられるようになったのです。でも顔の損傷から、痛みのせいで、鳴くことはできません。


7月3日 土 【DAY 2】

朝になり、心配なはずなのに、すぐにジュ-ルの様子を見に行くことができませんでした。

昨日の状態から、家族の誰もが、ジュ-ルが夜を越すことができないと思ったから。

でも、ジュ-ルは生きていた。必死に戦っていた。

ジュ-ルが、まだ雛だった時に入っていた野菜箱の中で、必死に生きようと、傷ついた足を少し動かしていたのです。

足の指を2本ほど、痛めてしまったらしく、バランスが上手くとれませんが、動こうとしていました。

すぐに私は、自分の胸にジュ-ルを抱き寄せ、声をかけてやります。

昨日から、ずっと、腿の上にジュ-ルをのせて、話しかけています。

「ジュ-ル、ジュ-ル、ママだよ。ママはここにいるよ。痛いけど、治るから、だいじょうぶ、えらいね、ジュ-ル、大好きだよ。」と。

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首に傷を負っているジュ-ル、力のないジュ-ルは、私に答えることはありませんでした。


7月4日 日 【DAY 3】

この日、ジュ-ルの目が、まったく見えていなかったことがわかります。

なぜなら、それは、私の呼びかけに反応するように、首を動かし始めたジュ-ルの動きが、目の前にいる私を見ずに、首を左後ろに動かして私を探そうとする動き、それがすべてを物語りました。


かわいそうなジュ-ル。目も見えず、片足が不自由。
これからどうやって生きていくのでしょう。

ジュ-ルが不憫で、悲しくて、罪悪感に苛まれて、私は泣きました。

泣いて、泣いて、泣いて、涙が枯れるほど、泣きました。



でも、夜になり、奇跡は起きました。

左目はつぶれてしまっていても、右目の瞼をジュ-ルは開いてくれた。

そして、私のことが見えた瞬間、羽根をバサバサと広げ、バランスを崩しながらも、必死で私に近寄ってきてくれた。

まるで、

「おがぁさんが、ぼくのおがぁさんが、いる!」と

わかってくれたようでした。

そっと、ジュ-ルを胸に引き寄せると、不自由な足で、私の肩に登ろうとします。

そう、ジュ-ルは、私の肩の上にとまるのが大好き。安心するんです。

肩にとまったジュ-ル。

そっと羽を包むようにしてやり、また、話しかけます。

「ジュ-ル、がんばったね、もう大丈夫だよ、ママはずっと、ずっとジュ-ルといっしょにいるよ。」と。



あれから、約1か月半がたちます。

奇跡的に足の指の怪我も治り、飛べるようにもなりました。

片目になったジュ-ル、でも、たくましく生きています。


最初の奇跡は、巣から落ちても生きていたこと。

2度目の奇跡は、貯水池に落ちても生きていたこと。

そして、3度目の奇跡は、こうして、生きようとして生きていること。

ありがとう、ジュ-ル。

いつまでも いっしょだよ。

君は、もう、うちの家族なのだから。


最後までお読みくださりありがとうございます。

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それでは、また来週、【かぁ(火)曜日はカラスのジュ-ル】でお会いしましょう。










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