TOPPAN株式会社の運営する、日本文化発信拠点メタバース「VIRTUAL REMIX JAPAN」の第二弾を制作
昨年2023年夏にオープンしたTOPPAN株式会社の運営する、日本文化発信拠点メタバース「VIRTUAL REMIX JAPAN」の第二弾を制作いたしました。
そして、台北で開催されている「台北國際動漫節」でメタバース空間の連動企画を実施しました。
今回の記事ではその概要と技術面のポイントなどについてまとめます。
VRJについて
2023年7月に実施した第1弾のVIRTUAL REMIX JAPANについても記事にまとめておりますので、御覧ください。
今回の制作ポイントでは大きく2つのポイントに注力しました。
①WebGL化しブラウザで体験できるようにすること
前回使用したVRchatなどのアプリは全体的にクオリティが高い反面、アプリのダウンロードが必要、且つPCまたはヘッドセットでの体験しかできない場合が多く、プレイまでの敷居が高いことが課題でした。そのため、より多くの人にプレイしてもらえるように体験の敷居を下げることを目的としてWebGL化を実施しました。
②リアル(会場)とメタバース空間を連動させること
今回は台湾のイベント会場の出展が可能であったため、VRJのプロモーションとしてリアルとメタバースの連動企画を実施しました。リアルイベントとメタバースだからこそ実現できるコンテンツとしてコスプレコンテストを企画しました。
日本文化を体験する五つのワールド
5つのワールドから構成され、各ワールド毎に日本の多様な文化を体験する事ができる様々な仕掛けを用意したメタバース空間を開発・制作しました。ブラウザでの体験を可能にし、現地会場と連動したフォトブース企画も実施しました。
1. 城下町ワールド
日本の歴史ある城下町とNEO TOKYOをミックスさせ、 幻想的な空間を表現したVIRTUAL REMIX JAPANのロビーとなるワールド。城下町ワールドからは4つのワールドに移動できる他、ショップからリアル商品の購入をする事もできます。
2. コミュニティワールド
日本の文化でもあるネット掲示板をメタバースで体験する事ができる空間。興味のあるトピックのスレッドに参加したり、話したいトピックのルームを作成して、その話題についてのチャットを楽しむことができます。ルーム内に設置してあるペイントボードで自由に絵を描いたり、チャットの内容によってワールドの背景が変わる仕掛けを楽しめます。
3. ウォッチパーティワールド
日本の人気漫画のウォッチパーティを楽しむ事ができるワールド。空間に3Dテキストを出現させたり、マンガと空間の演出が連動する没入度の高いメタバースならではの体験をする事ができます。
4. ライブワールド
日本のアーティストのコンテンツを見ることができるライブワールド。Vtuberやメタバースライブのアーカイブ映像等を楽しむ事ができます。ワールドではモーションエモート等を活用してライブを盛り上げる事ができます。
5. コスプレコンテストワールド
2/1-2/5で開催された台北國際動漫節と連動企画としてコスプレコンテストを開催。台北國際動漫節に設置されたフォトブースで撮影する事で、コスプレフォトコンテストに参加する事ができます。メタバース上では、コンテストに参加したコスプレイヤーの写真を見て投票する事が可能です。後日、投票で上位になったコスプレイヤーを発表します。
こだわったポイント
APIサーバー連携
今回は仕組みを極力シンプルに統一。ブラウザ上という環境の為、中断しても極力前回プレイの状況に復帰できる様な仕組みはある程度サーバーレスで実装した。アバターシステム
独自のアバターシステムを構築。カスタマイズパーツ等最低限のメモリ使用で済むようにしたり、ユーザー設定から描画クオリティを調整できるようにし、LODの表示状態など動的にコントロールできる仕組みとした。多言語対応
メモリ使用量の削減で使用できる文字を制限したが、これにより表示出来ない文字があるので、文字数の少ない&特殊な文字を表示したい所では旧来のTextで表現している。フォトブース連動と投票
コスプレイヤー画像のクオリティとメモリ使用量が課題で、メモリ不足でクラッシュが起きないよう一般公開後も調整を行い無事成功した。スマホ対応(複数操作系対応)
バーチャルスティックなど表示するUIが増えるため配置場所を工夫。またPCとモバイルでビルドを別けて対応した。
まとめ
本プロジェクトはWebGLでのメタバースプラットフォーム実装であった為、プレイまでの敷居は下がる反面、ブラウザの制約を受ける部分も多く、メモリ面では最後まで調整しました。モバイル対応に関しては現状でUnityが正式にサポートしているわけでは無いため、問題が発生した場合に多くの検証と代替え処置を行い、予想以上に開発工数がかかる状況でした。次期Unity6ではWebGLのモバイル対応がされる様なので早期のリリースを待ち望んでいます。
短期間での制作でしたが、多くの課題を解決しながら開発・制作することができました。ネックであるメモリの制限がある中、多くの機能を実装してくれたプログラマーとWebエンジニア、CGのクオリティは保ったまま調整・制作してくれたCGデザイナー、ワールド演出やSE,BGMから全体のデザインまで、今回の制作物に欠かせないディテール部分を詰めてくれたディレクター、そして今回のプロジェクトを完成まで持っていったプロデューサー、全員の力で無事イベント成功を収めることができたと思います。
メタバースを使ったコンテンツや広告制作のご要望があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
<お問い合わせはこちら>