3D Gaussian Splattingの活用と今後の展望
アタリでは、最新技術を駆使し広告業界において新たな価値を提供することを目指しています。今回は、私たちの注目している「3D Gaussian Splatting」についてご紹介いたします。
昨年末頃から注目され始めたこの技術は、映像やコンテンツ制作における新しい表現開発、体験価値の可能性を秘めているとアタリは考えています。
1. 3D Gaussian Splattingとは
3D Gaussian Splattingは、3DCGにおけるレンダリング技術です。
この技術は、物体の表面をガウス関数を使ってスプラッティングすることで、高品質な画像を生成します。最大の進化は、そのレンダリング速度と品質にあります。
従来のレンダリング技術に比べて、計算リソースを効率的に使用するため、高速でありながら高品質な画像を生成できます。また従来のポリゴンモデリングでは再現が難しかったふわふわとした犬の毛、鏡面反射や芝生など、微細なディテールや複雑な光の反射を表現することが可能となります。
2. 課題と導入の懸念
3D Gaussian Splattingは、高品質なレンダリングを行う手法の中では、VRAMの使用量が比較的少ないという利点があります。しかし、ローポリゴンや最適化されたテクスチャを使用したシーンと比較すると、依然としてVRAMの使用量が数百MB~1GBと多く、さらに効率を改善する余地が残されています。そのため、ハードウェアリソースが限られているスマートフォンやWEBなどのプラットフォームでの導入には慎重な検討が必要です。
また、現在のところ静的なシーンに限定されており、動的なコンテンツの表現には課題が残っています。さらに、既存のレンダリングパイプラインと互換性がないため、導入には既存ワークフローの見直しが必要です。
FPS(ファーストパーソン・シューティング)ゲームなどのワールド作成に3D Gaussian Splattingを活用する可能性が想像できますが、いくつかの課題が残っています。3D Gaussian Splattingは点群データを使用しているため、例えば、プレイヤーが物体に当たったりぶつかったりする判定に使用されるコリジョン(衝突判定)の設定が、ポリゴンモデルと比較して難しくなります。特別なアルゴリズムやツールを用いて点群データのコリジョンを生成・処理する必要があるためです。
3. フォトグラメトリやNerfとの違い
3D Gaussian Splattingは、フォトグラメトリやNerf(Neural Radiance Fields)と比較しても独自の特徴を持っています。
フォトグラメトリは、実際の物体を撮影して3Dモデルを生成する技術で、高精度なポリゴンモデル、テクスチャや点群を作成できますが、従来のレンダリング手法に依存しており、ふわふわとした犬の毛、鏡面反射や芝生など、微細なディテールや複雑な光の反射などには負荷の高いレンダリング処理が必要になります。
Nerfはニューラルネットワークを活用して3D空間を再現する技術で、3D Gaussian Splattingと同様に高品質なレンダリングが可能ですが、ニューラルネットワークを利用しているため計算コストが高いという課題があります。
3D Gaussian Splattingはこれらの技術に比べて、レンダリング速度と品質の性能が高く、リアルタイムアプリケーションにも適しています。
4. 活用事例
この技術を活用することで、日常的なペットや子供との思い出を、空間記録として残していくことが可能になります。
今後、広告業界においてもさらなる活用が期待されます。例えば、リアルでインタラクティブな広告コンテンツや、視覚的に魅力的なデジタルサイネージ、リアルタイムでのカスタマイズが可能なプロモーションビデオなど、様々な用途が考えられます。また、小売業界やeコマースにおいては、製品のリアルタイム3Dビューを提供することで、消費者により豊かな購買体験を提供することができます。
実写での制作に必須であるロケハンも、3D Gaussian Splattingで、現地にいかなくても確認できるようになるかもしれません。
おわりに
アタリでは、3D Gaussian Splattingのような最新技術の活用方法についても議論やテストを重ねています。今後も技術の進化とともに、皆様のビジネスをサポートするための最適な提案を行ってまいります。
参考
https://qiita.com/RyeWiskey/items/9ccc862db91e38e8bbc9
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