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8.17 ジグゾーパズルといつかの夜

ご無沙汰しています。

まず近況として、
以前書かせていただきました資格試験は無事合格することができました。

いつも思うのですが、本当に興味のあることを勉強するよりも、仕方なく勉強しなきゃいけないことの方が世の中には多くて、それは本当に苦しいことなのです。

特に高校生あたりまでは、こんなことをやって将来何の役に立つのだろうかなんて思うことばかりではないでしょうか。

僕はずっと、勉強している対象そのものに意味があるのではなく、耐え忍ぶことを学んでいるのだと考えていました。

そして、太宰治が言うように「勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っている」のです。

今回もまた僕は、仕事で仕方なく取った資格に、本音では役に立つのだろうかと疑問に思っていましたが、「誘惑の中でやるべきことをやることができる自信」という小さな砂金を得たのです。

そんなこんなで無事試験を終えた本日は、東京から友人が遊びに来てくれたのです。

2週間ほど前のことです。

昼過ぎまでだらだらとベットに横たわっていたら、高校時代の友達から着信がありました。

かけてみると、カメラを早くオンにしろと言う友人。昼過ぎだというのに寝起きだった僕は、高校時代からの友達でも寝起きは少し恥ずかしいなと思いながら、念のため一度洗面台に走って鏡を見てからカメラをオンにしました。

画面には、その友達ともう一人の友達が映っていました。

二人に最後にあったのはそういえば桜が咲く頃だったというのに、SNSでもつながっていられる今、僕はあんまり久しぶりな気がしなかったけれど、声を聞いたらなんだか懐かしいきもちになりました。

大阪はどうだ、仕事はどう、一人暮らしはどうだ、寂しくないか、恋人はできたか。

そういえば、高校の時から二人は僕の過保護な親みたいだったな。

画面の左下に写った、半分しか目が開いていない自分の顔をあんまり見ないようにしながら、寝起きの頭で、二人の質問に答えていると、突然二人は言いました。

「お盆あたりそっち行くから」


という一言から二週間経った今日、二人は大阪にやってきました。

深夜0時過ぎ、日付が変わる頃に二人は僕の住む街の改札に現れました。

昔から越境通学で地元に友達がいなかったせいか、自分の住む街に友達がいると、なんだか不思議な気持ちになります。

不自然にか大きな荷物を持つ友達。

これは何かと尋ねると、

「ジグゾーパズルを買ってきたから、部屋に飾って」

と。 
いつも通りの斜め上の言動になんだか安心しました。 

深夜0時。
ということで、半強制的にジグゾーパズル大会が始まりました。ジグゾーパズルなんてそんなにやるものじゃないから、何もわからないままとりあえず絵の中心から取り掛かかりました。

深夜1時。
開始1時間ほどで中心が完成しました。これは意外と簡単じゃないかなんて思っていた僕たち。

けれども、ここからが地獄のようなのでした。

絵の中心にスポットライトが当てられたような構図のため端っこはほぼ闇で、残ったピースはどれも同じ色なのです。

深夜2時。
アルコールの回った頭で闇と闇とを見極める僕たち。さっきとは打って変わって焦りを感じていました。
なんだか、8月31日に宿題に追われている時のような気分です。僕は全部初めの方に片付けてしまうタイプだったけれど、きっとこれがそういう気分なんだろうなと思いました。

深夜3時。
あまりに進まないので途中でお風呂に入りました。久しぶりにお酒を飲んだせいか、風呂場の鏡で太ももあたりまでピンクになっている自分を見て目が覚めました。

深夜4時。
そろそろアドレナリンだけで正気を保っている僕たち。一度笑うと笑いが止められなくて、ヘラヘラしていたら何も進みませんでした。

5時。
ベッドの上の、カーテンが薄い方の窓を見ると、空が白んでいました。もう深夜ではなく朝です。
同じ部活に入っていた僕たち。コンクールもないのに、朝までクラシックギターを弾かされる夏合宿の日々を思い出しました。

朝6時。
友達の一人がもう寝るわって言って床に横たわりました。こんな時期に風邪なんてひいたらと思って、僕のベットに押し込みました。

朝7時。
二人で無言で黙々とパズルを埋めていきます。もう闇は闇なのだから闇と闇の区別なんてつかなくて、片っ端から残りのピースを残りの穴に一つずつ当てていきました。
パズルってこんなやり方だったでしょうか。

朝8時。
最後の1ピースと思いきや、なんかうまくはまらくて、最後の最後に少し崩して、やり直しました。

朝8時半。
パズルが完成しました。

パズルで一番やってはいけないことは無理やり型に嵌めることなんですね。最後に必ず辻褄が合わなくなります。なんだか人生みたいですね。

そこから、脳みそが強制終了して僕たちは意識を失うように眠っていました。
当たり前です。

午前11時。
なんだかぱっと目が覚めて、僕が
「よく寝た」
とつぶやくと、隣から
「全然だから」
と返されました。

眠りについてから、3時間も経っていなかったのですね。

それでもお腹が空いたので、
僕の呟きで目を覚ました二人とパンケーキを焼いて食べました。

誰かと朝ごはんを食べのはいつぶりだろうか。
実際はもう昼ごはんですね。

それから、ジグゾーパズルがすぐ終わると思って持ってきたというタロットカードで友達が占いを始めました。

さらに斜め上を行きますね。

タロットカードって結構残酷なことが沢山わかってしまうのですね。

午後14時。
そろそろ外に出ないと日が暮れてしまうと思って、玄関の扉を開けた僕たち。
「やっぱ、一回ドア閉めよ」
そういえば、14時って一日の中で一番暑い時間でしたね。
iPhoneの天気予報を見ると37度。
体温よりも高い微熱の中です。

午後15時。
目的地の駅に着きました。
治安の悪そうな中心街から少し外れると広がる、なんだか懐かしいレトロな街並み。
関西の人たちがお勧めしてくれるその街はイメージしたよりもずっと懐かしい街でした。

暑すぎて、適当に選んだカフェに避難すると、
中には小学校の机や絵本が並んでいました。

僕たちはフロートを頼んで、置いてあった自由帳で絵しりとりをしました。

僕たちの絵しりとりは何故か一人10分もかかりました。

それから、また適当に選んだ店で夜ご飯を食べました。

誰かと夜ご飯を最後に食べたのはいつだろうか。 

別荘みたいな建物の2階席でした。

パスタが自慢の少し大人っぽい雰囲気のお店で、食べたいものを全部頼んで、
「社会人てすごいね」なんて言って、
明日からの仕事が憂鬱だとか呟きながら、今まで食べた中で一番おいしいポテトサラダと鮮度10分と書かれたパスタを頬張りながら、僕たちは何も変わっていないけど大人になったんだなと思いました。

お店を出て、二人を見送るために一駅先まで歩きました。

夜7時。
改札の向こうに行った二人。
いつもはこんなことしないけれど、見えなくなるまで僕は改札の前で突っ立っていました。

一人で地下鉄に乗って、夏の7時はまだ夕方の5時みたいに明るいから、クリープハイプの「のっぺらぼう」を聴きながらうとうとしていました。

昨日の夜中に二人と会った、最寄駅の改札を通って、僕の部屋に帰りました。

さっきまであんなに騒がしかったのに、
なんの音もしない僕の部屋。

パンケーキの匂いだけが少し残ってました。

今日は早く寝ようと思って、お風呂に入ると鏡に映る僕の太ももはもう全然ピンクじゃありませんでした。

大阪に来て寂しいなんてあんまり思わないでいるけれど、友達に会った後はやっぱり寂しいものですね。

最近僕は、どこまでも一人でいられるんじゃないかと思うことがあるけれど、そうでもないのかもしれません。

今日が楽しかったから、明日が来るのがいやで、今日もずっと起きててやろうかと思いました。
けれども、僕は気づいたら眠っていたようで、目が覚めたら朝の7時でした。

そういえば普通に労働して思いっきり遊んで3時間も寝ていなかったな。


何かに嵌めようとしたって体は嘘がつけないのです。

また日常が始まります。   

ジグゾーパズルを見ながらおやすみなさい。


P.S.
こちらは絵しりとりの答え合わせです。




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